思いを背負った田中圭が男泣き『ヒノマルソウル~舞台裏の英雄たち~』公開記念舞台挨拶
日本中が熱狂した長野オリンピックで、スキージャンプ団体が勝ち取った金メダルの裏側を映画化した『ヒノマルソウル~舞台裏の英雄たち~』公開記念舞台挨拶が行われ、主演の田中圭、土屋太鳳、山田裕貴、眞栄田郷敦、小坂菜緒、飯塚健監督が登壇した。(2021年6月19日 TOHOシネマズ六本木ヒルズ)
1998年に行われた長野オリンピック。ラージヒル団体で日本は念願の金メダルを手にした。しかし、あの栄光の裏には知られざる物語があった。元日本代表の西方仁也(田中圭)をはじめとする25人のテストジャンパーは競技前にジャンプ台の状態を確かめ、安全に飛べるようになるまで繰り返し飛ぶことが使命であり、期待を背負った4人の代表選手との絆を描いている本作。
主演・西方役の田中は「ようやく、やっとかって。嬉しいですけど、何が嬉しいかって6人に会えると思っていなかったので嬉しいです。本当は2時間くらいしゃべりたいと思っていますけど、短い時間ですが楽しんでください」と意気込みを語りつつも、「公開が2度延期になったので、それだけ長い時間、番宣をやっていたのでいろんな思い出がいっぱい詰まっています」と振り返った。
西方の妻を演じた土屋は「スクリーンから大きく飛んだこの作品をどうか末永く愛してください」と呼びかけ、山田は「思いが溢れすぎるとシンプルな言葉しかでてこないだなと。本当に本当に公開できて嬉しいです。やっと僕らジャンプできたんで、ここからの飛距離はみなさんの声援によって伸びていくので」と上手く表現。
本来なら1年前に公開のはずがさらに延期となり、念願の公開を迎えた胸中を聞かれると「良かったです!3度目もあるんじゃないかと思っていましたから」と話し、延期については「延期かぁと思っていました。誰のせいでもなく仕方がない。もちろん早くみなさんに届けたいとか色々思いはありました」しかし今は「さみしいが9割くらいで、嬉しいが1割くらい」と複雑な心境を吐露した田中。
5人揃ったことについて土屋は「嬉しいです。さっき圭さんが言っていたように2時間くらいほしいです」とコメントし、田中も「公開が延期になることもめずらしいですし、ここまで手元にあり続けてくれた映画ってなかなか無くて。その映画がみなさんに託されるという時に、バタバタのスケジュールの中で超多忙な人たちが集まってくれただけで、ウルっときてしまいますね」と再集結の喜びを噛みしめた。
田中と何度か共演経験がある土屋だが印象について「圭さんは本当に人を許す方だなと。いろんなことを許して、見守って。トラブルは笑いに変えて。笑いに変えられないことはひたすら受けとめてくださるんですよね。太鳳、さみしいです」とたたえつつも涙を見せ、「圭さんこそ神様だなって。最高の上司ですよね、裕貴くん」と振ると「神様みたいな人です。めちゃくちゃ愛される人です」と山田も便乗しながらコメントした。
先輩たちとの撮影や宣伝期間に対して、眞栄田は「神様みたいな人で」とさらに便乗しつつも「3人ともなんですけど、その日にやるべき仕事に真っ直ぐ向き合っていて。いつも100パーセントの力で向き合っていてすごいなと思っていました」と語り、演技経験が少ない小坂も「みなさん引っ張ってくださって。その空気感に混ぜてくださって。ここから離れるのはさみしいなと思っています」と感慨深いようす。
実際に長野オリンピックで飛んだテストジャンパーたちからのメッセージがサプライズで流れ、観終わった後に山田は言葉を詰まらせながら「みなさんの思いを伝えられたらいいなというのが一番で。良かったです、ありがとうという言葉が嬉しいですね」と涙をこぼし、撮影時を振り返った眞栄田も目を真っ赤にしながら頬を濡らしていた。
さらなるサプライズとして、キャストやスタッフが寄せ書きをしたフラッグが土屋から田中に贈られ、とうとう感極まった田中は、こらえていた涙があふれ落ちた。その姿を見た山田が「圭さんの泣いているところをあんま見たことなくて。いつも明るく乗り切るだけじゃなくて、弱みとか見せて欲しいと思っていて。人間らしい圭さんが見れて良かったです」ともらい泣き。
田中は「実写を映画にするってすごく責任が生まれることだと思っていて。それはみんなに知ってもらおうという前向きな責任で。座長として俺で良かったのかなと思う時もありました」と葛藤があったことを明かし、最後に「登壇している人たちが違うタイミングで泣く舞台挨拶があったでしょうか」と笑いを誘いながら「この作品をきっかけとして、はじまる何かやご縁は切らさなければ続くと思っていて。気持ちのスタートラインをみなさんと共有できたことが幸せでした」と思いのたけを述べ、フラッグを背負いながら壇上からおりた。
取材・撮影 南野こずえ
『ヒノマルソウル~舞台裏の英雄たち~』
配給:東宝
©2021映画「ヒノマルソウル」製作委員会