倉科カナ、昔の自分を見ているような感覚『女たち』の公開祈念イベント



チームオクヤマ25周年記念作品の『女たち』の公開祈念イベントが行われ、主演の篠原ゆき子をはじめ倉科カナ、MCの笠井信輔フリーアナウンサーが登壇した。(2021年5月21日 よしもと有楽町シアター)

邦画斜陽期から攻撃的な姿勢で多くの作品を世に出してきた名プロデューサー・奥山和由。そんな奥山がコロナ禍で閉塞した世の中に一石を投じる新作映画を製作した。その作品が『女たち』である。主人公である美咲を演じるのは奥山が惚れこんだ女優・篠原ゆき子。鬼気迫る熱演が胸に響く。

自然豊かな緑が眩しい山あいの田舎町。年老いた体の不自由な母親と二人暮らしをする美咲は、母・美津子のホームヘルパーとして自宅を訪れる直樹との結婚を夢見ていた。罵詈雑言を浴びせかけてくる毒母・美津子との息苦しい日々のオアシスは直樹との逢瀬。そしてもう一つは小笹馴染みで親友の香織が営む養蜂場だった。しかし、直樹の手ひどい裏切りと香織の突然すぎる死により、美咲の心のダムは決壊寸前を迎える。「なんで死んじゃったんだろ…」人と人との距離が引き離されたコロナ時代。でも心と心は?ひとさじのハチミツが女たちの心を繋ぎとめる。

笠井 そもそもお二人はこの作品を奥山さんからどのようにオファーをされたんですか?
篠原 以前ほかの現場で奥山さんとご一緒した時に、突然「篠原さんで主演映画を撮影しようよ」と仰ってくださって…私は嬉しいけど真に受けないようにしようと思いながら、「よろしくお願いします」とお伝えして。そうしたら奥山さんが本当に企画を進めてくださいました。

笠井 倉科さんは、篠原さんの後にオファーがあったんだと思いますが、具体的なストーリーなどは分かっていたんですか?
倉科 養蜂家というのだけは聞いていました。奥山さんとは映画祭で何度かすれ違うことが多かったので、「いつか一緒に仕事が出来たらいいね」と話をしていただいていまして。そうしたら「実はこういう企画があってね」と今回の『女たち』のオファーを頂きました。

笠井 演じる役柄とか物語の結末とかも教えてもらったんですか?
倉科 いやあ、特にそういうのは無くって。台本を読んで、香織という役柄を通して今まで私が出したことの無い表情を出せるのではないかと思い、面白みを感じて引き受けさせていただきました。
笠井 ポスター見ると分かるんですけど、とにかく髪の毛を思いっきり切りましたよね。それは奥山さんに命令されたの?
倉科 いえいえ!奥山さんもびっくりされていました。香織が生活しているのを想像した時に、長い髪だと想像できなくて。「切らせていただいてもいいですか?」とお伝えしたら「え?いいの?」って言われました。

笠井 篠原さん、倉科さんと本格的な共演は初めてですよね?今回向き合ってみて印象はどうですか?
篠原 私は倉科カナさん、っていうと天真爛漫で笑顔のイメージがあったので、香織っていう闇を抱えた役柄が最初結びつかなくて。でも、顔合わせでお会いして「あ、この人、闇があるかも」と思いました。
笠井 え、そうなんだ。どんなところが?
篠原 女としての痛みというか。乗り越えてきた何かがあるんじゃないかなって。
笠井 倉科さん自身は香織に通じるものを感じましたか?
倉科 感じましたね。やっぱり誰しも香織に共感する所はあるんじゃないかな。私自身は自分を上手にコントロールできるようになったから、香織と向かい合って、昔の自分を見ているような感覚がありました。

コロナ禍の中での撮影ということもあり、作品を完成させることが出来るのか不安があったと話す篠原と倉科。
イベントの終盤、篠原は「こんな素敵な場所に立たせていただくなんて思ってもいなかった人生でした。もしかしたら明日良いことがあるかもしれない、そういう思いを繋げて生きていってほしいと思います。『女たち』をご覧になってください。」と感極まって涙ぐみ、公開祈念イベントは幕を閉じた。

取材 福井原さとみ

『女たち』
配給:シネメディア、チームオクヤマ
(C)『女たち』製作委員会
6月1日(火)TOHOシネマズシャンテ他全国公開

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