成田凌、みんなにクズクズ言われる役『愛がなんだ』公開記念舞台挨拶



角田光代の恋愛小説を映画化した『愛がなんだ』の公開記念舞台挨拶が行われ、岸井ゆきの、成田凌、深川麻衣、若葉竜也、今泉力哉監督が登壇した。(2019年4月20日 テアトル新宿)

恋愛映画の旗手・今泉力哉監督が映し出す、正解のない恋の形。共感と客観が刺さる何とも言えない愛おしさが、観る者の恋愛観を模索せずにはいられない本作のストーリーは、アラサーOLのテルコ(岸井ゆきの)は恋人とは呼べない存在のマモル(成田凌)に全力で夢中。振り回されながらも不器用で曲がった恋心を抱く。しかしマモルはすみれさん(江口のりこ)に惹かれており、不思議な三角関係がはじまるのだが――。

主演の岸井は、テルコという役柄について「原作と比べると全然違うものになっていて。これから原作を読む方も、違った一面があって面白いんじゃないかなと思います」と原作と映画で楽しめることをアピールした。

マモルを演じた成田は「演じている時は、何も間違ったことをしていないと心に止めてやっていたんですけど、みなさんの反応や自分の感想も含めると、やっぱりよくない人」と自身の役に疑問を抱きつつも、「みんなにクズクズ言われるんですけど、本当にヤバいのは岸井さんの方だよと僕は思う!」と力説し、客席からは共感の笑いが起きた。

それに対して岸井も「映画を観た友達から、成田君のことを嫌いになりそうと言われたことがあるんですよ。でも、よく考えて。テルコの方がおかしいよって言って」と、観た後に話し合いたくなる要素が溢れている本作。

今泉監督の前作『パンとバスと2度目のハツコイ』で主演を務め、2度目のタッグとなる深川は「誘導的に誰も悪者に見せないというのが素敵だなと感じました。突き抜けているけど、言っていることや思っていることに共感できるところが面白いなと思いました」と見どころを的確に表現。

葉子(深川麻衣)に思いを寄せるナカハラを演じた若葉は「(撮影が)結構前で、全然覚えてないんですよねー」と言いながらも「やっていてすごく恥ずかしかったので、自分と通ずる部分がきっとあったんだと思う」と照れくさそうに振り返った。

印象的なシーンを問われた岸井は“ケチャップのシーン”を挙げ、「監督が『成田が出ちゃった』って言ってたんですけど、私も岸井が出ちゃった」とコメント。アドリブでの2人のやり取りが役とは似つかわしくないシーンになっており、「マモルだったらあんなカッコイイ言葉は出てこないから、成田が出ちゃったねって意味なんです」と今泉監督が付け加えた。

成田は“冷蔵庫前でのキスシーン”と答えたが、キスシーンが終わった後に「岸井さんと監督がコソコソ話していて。『今のキスじゃ岸井さんは芝居はできねぇ』と監督に言われた」と吐露すると、若葉は「ニュースの見出し決まったね、“成田のキスがよくない”」と茶々を入れ、笑いを誘った。

真相について今泉監督は「岸井さんは、自ら言ってくることなんてないんですけど、唯一そのシーンだけ『愛情がないとか、肉体として求められている(という設定)もわかるんだけど、肉体としてすらも求められていない気がする』という話になった」と役を追求する岸井からの申し出だったことが判明。

深川は印象的なシーンとして“原作にないナカハラの終盤のシーン”を挙げ「あのシーンがあるのと無いのとでは、2人の結末は全然違ったものに見えるなと思って」と話すと、今泉監督が「ナカハラとテルコが対照になるというか。テルコの最後の選択がより際立つかなと思って」とのこだわりを明らかにし、キャスト陣もうなずいた。

物語のキーパーソンの1人であり、非常に魅力的なナカハラというキャラクターの話題になり「けなげで。誰もが応援したくなる人だなと思いました」と深川は絶賛。また、映画を観た方からの“刺さった、泣いた”といった反応について今泉監督は「泣かせるシーンやコメディ的なシーンを大きく作っておらず、本当にささやかなこととかで。お客さんが泣くシーンだと思って撮っていなかったので、それが繋がったのは理想的なこと」と喜びを噛みしめた。

最後に岸井が「この映画を完成させるために頑張ってやってきました。公開2日目を満席で迎えることができて嬉しいです。映画って続いていくものなので、明日も明後日も満員のお客さんがいたらいいなと私たちは願っているので、面白いなと思ってくれた方は、友人や家族の方に劇場で観てねと言ってくれると嬉しいです」と締めくくった。

取材・撮影 南野こずえ


『愛がなんだ』
配給:エレファントハウス
(C)2019映画「愛がなんだ」製作委員会

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