協同労働という新しい働き方『Workers 被災地に起つ』レビュー



『Workers 被災地に起つ』の舞台であるワーカーズコープとは、働く人と市民がみんなで出資して、民主的に経営を行い、責任を分かち合って、人と地域に役立つ仕事をおこす協同労働の協同組合。組合員ひとりひとりが労働者であると同時に経営にも参加し、各々が対等な立場で仕事をする新しい働き方である。

仕事内容は、介護、子育て、就労支援、公共施設の管理運営、まちづくり関連事業、食・農・林業といった一次産業が中心。報酬が発生する事業として全国で展開している。

本作では、3・11東日本大震災で被災地となった4つの地域(岩手県大槌町・宮城県気仙沼市・宮城県亘理町・宮城県登米市)におけるワーカーズコープの活動をピックアップ。2016年2月から2017年12月までの間、組合員たちが奮闘努力する様子を捉えたドキュメンタリー映画である。

4つの地域のワーカーズコープで働く組合員たちが取り組む仕事は、高齢者や障がい者の支援、就労支援、林業などさまざま。誰もが真面目かつ積極的に仕事に取り組む様子が映し出されている。『自立・協同・連帯の文化を職場と地域に広げる』という指針を掲げる協同労働ならではの姿勢の表れであろう。

登場する組合員たちには困難と向き合った過去がある。
震災によって職を失った者、かつて負った心の傷と今も対峙する者、就職が思うようにいかなかった者、障がいがある子供を持つ者……。

ワーカーズコープとの出会いをきっかけに、各々が人生を再出発させたのである。協同労働という働き方が、被災地だけではなく組合員たちにも強い活力を与えていることは映像からも一目瞭然。

震災の被害が大きかった岩手県大槌町では人口の減少に伴い困難は増え続け、さまざまな「困った」を支える取り組みの一環として地域共生ホーム『ねまれや』が設立された。高齢者や障がい者などの利用者だけではなく、働く組合員たちにとっても救いの場となっている。

イタリアやイギリスなどのヨーロッパでは、協同労働による協同組合は、高齢者・障がい者・薬物中毒の方たちの働く場づくりに欠かせない存在。ところが、日本においての認知度は低いのが現状だ。

本作の公開によって、ワーカーズコープの存在、協同労働の意義などが広まることに期待したい。無論、協同労働は万能ではないが、急激な人口減少や予測不能の自然災害という、さまざまな難題を抱える現在の日本において、新しい働き方の模索は避けては通れないはず。『Workers 被災地に起つ』から学ぶところは多い。

文 シン上田

『Workers 被災地に起つ』
©日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会センター事業団
2018年10月20日(土)より、ポレポレ東中野ほか全国順次公開

記事が気に入ったらいいね !
最新情報をお届け!

最新情報をTwitter で