暴走!ロケ地めぐり『カメラを止めるな!』&上田監督トークショー



日本映画史、そして観客の心に残る名作が生まれた。
たった2館での上映からスタートし、一大ムーブメントを巻き起こして大ヒットを記録中の『カメラを止めるな!』。今回、本作のロケ地めぐり&上田慎一郎監督スペシャルイベントが開催されることを知り、ロケ地めぐり好き&カメ止めファンとしては、なんというありがたい企画なんだ!と公私混同してでも行かずにはいられなかった。グッジョブ、SKIPさん!

イベント会場は埼玉県川口市にある「SKIPシティ」。川口駅からバスで約15分ほどの場所。
まずは、劇中で「ワンカット・オブ・ザ・デッド」の中継を観ているテレビ局のシーンで使用された館内の映像ミュージアム。この場所では、見学にくるファンたちを上田監督がサプライズで出迎えてくれるという神対応っぷりに興奮者続出。さらには「笹原プロデューサーを演じた竹原さんの緊張をほぐすために、僕が肩を揉みました」というエピソードを交えながら解説も行われた。この空間のなかに上田監督と一緒にいると「あれ、何役だったっけ?」と、自身の役柄を確認したくなるくらい、撮影現場にいるような錯覚に陥ることができた。

続きまして、顔合わせ会場のシーンで使用されたという研修室に向かう。普段は会議室として機能しているだけあって、なんの変哲もない普通の会議室である。
しかし……いざ入ると違ったのだ。
なんとこちらでは、松本逢花役の秋山ゆずきが出迎えてくれており、とことんサービス精神が旺盛なカメ止めファミリー。作品内容だけでなく、このようにファンと近い距離でいてくれるところも、本作が愛される熱々ポイントである。劇中さながらの“あいたんビーム”を惜しみなく披露してファンの写真に応じてくれた。「あれ、ビームにやられる役だっけ?」と、自身の役柄をまた確認しそうになった。思わず、ぐわーんぐわーんと寄りからの引きで撮ってしまったのは言うまでもない。

この日は特別に「ワンカット・オブ・ザ・デッド」で使用された衣装展示も行われており、お馴染みのキャストたちの衣装をじっくりと眺めることができた。そのほかにも、Vシネマ撮影のシーンである大階段、野外での稽古シーンも敷地内にあり、一気に『カメラを止めるな!』の世界観を満喫できるスポットだらけとなっている。本物が欲しいなら行くしかない!

ロケ地めぐりレポートはこれにて終幕。後半はトークショーの様子をよろしくでーす。

「『カメラを止めるな!』ロケ地めぐり&上田慎一郎監督スペシャルイベント」が開催され、『カメラを止めるな!』のロケ地めぐりとともに、上田慎一郎監督の過去3作品の上映、さらにはトークショーが行われた。(2018年9月22日 SKIPシティ)

上田監督とともにゲストの秋山ゆずきがトークショーに登壇。客席で上田監督の顔写真うちわを振っている人を見つけると「ジャニーズみたいじゃないですか!」と満足の笑みを浮かべた上田監督。続けて、客席に向かって何回観たかを問いかけると、最多で25回という声があがったが「僕が知っているかぎりでは、42回という人を2人知っています」とさらに上を行く熱烈なファンがいることを明かした。

今回、2人が着ている黄色とピンクのTシャツはファンの方にいただいた物だと言い、上田監督は「オフィシャルじゃないものを着ているんです(笑)」とファンからの思いを大事にしていることがうかがえた。また、3ヶ月前の公開初日からを振り返り「大昔のようで昨日のことのようで、嵐のような日々で。自分の気持ちを確かめる暇がなくここまできている」と目まぐるしい日々に精一杯なようす。

事務所から痩せて欲しいと言われている秋山は「1年前の撮影以降、太りまして。久々に衣装を着たらパツパツだったんです」と笑顔を見せながら吐露。2012年の『SKIPシティ国際Dシネマ映画祭』で『恋する小説家』がノミネートされた上田監督は「大きい映画祭に来たのはここが初めてだったんです。ここが出発だった。戻ってきますと言って戻って来れたので感慨深いです」と喜びを噛みしめた。

ふくだみゆき監督を妻に持つ上田監督に「家での立場は変わりましたか?」と鋭い質問が投げかけられると「妻の方が『こんぷれっくす×コンプレックス』というアニメで、『毎日映画コンクール』でアニメーション映画賞を取って。先に売れかけたんですけども、逆転したという(笑)家では変わらないですよ」とごまかしながら苦笑い。

上田監督から「成長を感じている」と褒められた秋山は「みんなと一緒に何かをするというのがあんまりなかったというか。みんなが舞台挨拶をしているのを見て、私も何かしたいと思うようになって。一人で舞台挨拶に行ってみたりとか。カメ止めのTシャツを着ている人とすれ違った時に、声をかけたんです。人に声をかけるようなタイプじゃないんですけど、嬉しくなりすぎて」と自身の変化に驚いているようす。

撮影中の衣装の話になり、顔合わせのシーンで私服をきていた秋山は「それ、劇中で着ていなかった?と言われるようになったので、今年の夏は着るのを控えました」と言い、日暮を演じた濱津について「ビックリするくらい私服のレパートリーが全然ないんですよ。ポロシャツの紺と白と黒しかない(笑)」と上田監督が公言ダメ出し。

新しいシナリオを書いたり、次の作品が動きはじめていることを明かした上田監督だが「色んなことを経験して、それを集約して映画にしたい」と意欲を見せたが、実際には「オファーがいっぱいありました。ファッションショーに出てくれとか、クッションビーズを使ってレビューをする仕事とか。異常事態でした(笑)」と意外なオファー内容も告白した。

さらには「『カメラを止めるな!』の2は作りたいと思っています。シリーズにはしていきたい。全然決まっていないですけど」と念を押した上で「ゾンビ縛りではなく、日暮が無茶なワンカットの依頼をされるというシリーズですね。『ダイ・ハード』みたいな」と構想を話すと場内は大笑い。秋山との漫才のようなコンビネーションでトークを広げ、最後までファンへを沸かせた。

取材・撮影 南野こずえ

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