熱いな 熱いね 熱いか 熱いぜ 『劇場版・復讐のドミノマスク』鑑賞記
シネマスコーレ(名古屋市 中村区)とSPOTTED PRODUCTIONS(代表:直井卓俊)との共同企画【SPOTTED758】が、2016年も好評だ。
6月4日は日本アカデミー賞で2冠に輝いた『百円の恋』(監督:武正晴/2014年)が、6月5日は【MOOSIC LAB 2016】でタッグを組むPFFを席捲したフレッシュ監督コンビによる短編作品『したさきのさき』(監督:中山剛平/2015年)・『NIGHT SAFARI』(監督:小林勇貴/2014年)が、6月6日は【MOOSIC LAB】史上初の6冠を獲得した酒井麻衣監督の『いいにおいのする映画(インターナショナル・バージョン)』(2015年)と地元ショートストーリーなごや作品『笑門来福』(2015年)が、それぞれ上映され、映画ファンが連夜押し寄せた。
そして6月7日、シネマスコーレの沿道は火曜日の夜、しかも雨が降りしきる梅雨空にも拘らず、黒山の人だかりが出来た。
それもそのはず、上映作品は【MOOSIC LAB 2015】準グランプリ『劇場版・復讐のドミノマスク』で、【細身のシャイボーイ】ミニライブ、室谷心太郎監督の舞台挨拶も付くというスペシャルなプログラムだったのだ。そして、メンバーに入っていなかった主演ドミノマスク役の福田洋(プロレスリングBASARA)も急遽登壇するということで、お祭り騒ぎのボルテージも最高潮に達していた。
以前“チーム・ドミノマスク”がシネマスコーレの舞台に立ったのは2015年10月6日のことなので、皆8ヶ月ぶりの帰還を首を長くして待っていたのだ。
『劇場版・復讐のドミノマスク』ストーリー:
正義のヒーロー・ドミノマスクこと ひろし(福田洋)は、妹のさくら(望月みゆ)と2人暮らし。日々、悪党・怪紳士室谷(室谷心太郎)や、さくらに想いを寄せる青年・佐藤(細身のシャイボーイ)と闘い続けるひろしだが、さくらの夢のためヒーローをやめる決意をする。最強の敵・暗黒魔王(竹下幸之介)が蘇り危機に陥った世界で、人々の、ドミノレディ(ささかまリス子)の声はドミノマスクに届くのか?ひろしはヒーローとしてお兄ちゃんとして、一体どんな決断を下すのか?
プロレスラー、アイドル、ミュージシャンが入り乱れて送る、ロマンチックアクション映画!
上映が終わると、シネマスコーレの客席は哀愁を帯びたアコースティック・ギターの音色で満たされた。劇中“青年・佐藤”役で大活躍を見せた【細身のシャイボーイ】LIVEが幕を開けたのだ。
観客とのニヒルな会話を交えつつ、劇場スタッフとの小粋なジョークを挟みつつ、ステージは和やかに、熱く進行する。
主題歌『妹』、オープニング曲『ドミノマスクのテーマ』、挿入歌『お涙頂戴』など、気付けば小一時間、全9曲のセットリスト……“ミニ”などと冠しては申し訳ない、圧倒的なLIVEパフォーマンスに場内は酔いしれた。
シネマスコーレでは【細身のシャイボーイ】の単独ライブを計画しているそうなので、インフォメーションが出るのが楽しみだ。
すっかりライブの熱気に中てられたオーディエンスから送られる拍手がようやく治まる頃、室谷心太郎監督、福田洋、そしてMC坪井篤史(シネマスコーレ・スタッフ)が登壇し、スクリーン前は時を置かず舞台挨拶のステージと化した。
――よくぞ名古屋にお越しくださいました。何か、遅刻してきた人がいたとか?
細身のシャイボーイ 高速バスで来ようかとも思ったんですが、高速バスはギターが壊れ物扱いで載せてくれないんです。小型のサイレント・ギターを座席に持ち込むことも考えたんですけど、室谷さんが「それじゃ、支配人(シネマスコーレ木全純治支配人)が許してくれないんじゃない?」、と(場内笑)。そんな訳で、鈍行で来たんです。なので、我々が疲れてるのは、支配人のせいです(笑)。
福田洋 支配人を、悪く言うな(笑)!
シャイボーイ (笑)。そんな感じで、ゆっくり話しながら名古屋に来るのを楽しみにしてたんですけど……横浜で待ち合わせてたんですが、一番楽しみにしてたはずの室谷さんがいなくて!室谷さん、今朝すごく早起きしてたんですけどね……
福田 1時間くらい前には、連絡してたんですけど(笑)。
シャイボーイ 今日来てくださってるお客さんに、Twitterで「楽しみにしててください!」みたいなリプライしてて……手前ぇが遅れてんじゃないか!って(場内笑)。
室谷心太郎監督 どうもこうもないですよ(場内爆笑 注:劇中の“怪紳士・室谷”の台詞調で)!……事実ですから、しょうがないんですけど。でも、全然待ってくれないんですよ。
福田 我々は、そんな……1本待つなんてことしませんからね。
シャイボーイ で、熱海でようやく追い着いたんですよ。乗り換えのタイミングが20分あったんですが、残り1分で。ミスをした奴に合わせてたら、この業界やっていけないですから(笑)。
室谷監督 結果、最初の予定通りの電車に乗って、時間に遅れずに来れたので……何のミスでもないですけどね!
シャイボーイ 本気で不機嫌になるの、止めてもらえません(場内笑)?
――映画の話をしましょうか(笑)?久しぶりですね、『ドミノマスク』がスコーレで掛かるのは?
室谷監督 はい、お久しぶりです!前回も、我々とてもお世話になりました。
――あれから、全国を回られましたか?
室谷監督 上映はさせていただいてるんですが、舞台挨拶は名古屋と長野……あと【MOOSIC LAB】ではないですが、千葉くらいですかね。
――福田さんは?
福田 僕は、名古屋だけです。名古屋限定……専門ですね(笑)。
――前回と比べて、シャープになりましたね?
福田 そうなんですよ。20kgくらい痩せて……痛風で(苦笑)。皆さん、大丈夫ですか、痛風とか糖尿とか?……支配人は、大丈夫ですか?
木全支配人 大丈夫(後方客席より)!
福田 いいですね……健康が一番ですよ。
シャイボーイ 支配人は、本当にお元気ですよね。何かやってらっしゃるんですか?日サロ通ってらっしゃるとか(場内笑)?……坪井さんは、どうですか?
――僕は、健康ですよ(笑)。
シャイボーイ ……本当ですか、痩せすぎてるように見えるんですけど(場内爆笑)?
――シャイボーイさん、福田さん、映画に出られて変わったことはありましたか?
シャイボーイ シャイは、出来ることは何でもやるんですね。元々はラジオをやりたくて、自分のラジオで流すためにギターで曲を作りはじめました。映画に呼ばれた時も、最初は室谷さんの役に立ちたいから曲を作りはじめたんです。何か変わったというより、出来ることをまた増やしてもらったということで、色んなことをやる切っ掛けになったと思います。で……モテると思ったんですけどね、僕は(場内笑)。モテてないので、映画の力をまだ感じられてない……でも、恐らく「これで満足しちゃダメだよ」って映画の神様が仰ってるんでしょうね。コイツは、まあまあモテてますけどね。
福田 いやいや……君の方がモテてるでしょう?
シャイボーイ いやいや!お前、ハラ立つな(場内爆笑)!また、痛風になって痩せたので……キャーキャー言われてるんですよ(笑)。
――室谷監督、『ドミノマスク』の続編はあるんですか?
室谷監督 そうですねぇ、どうなんですかねぇ……まだ分かんないです。
福田 (笑)……歯切れ悪いな(笑)。
シャイボーイ 映画を初めて1本作ってみて、大変さと、観てくださった方の期待というものが、我々よりも監督に一番行く訳です。『ドミノマスク』を撮ってる時、既に『2』の脚本を書いてたりしたんですけど……撮り終わって、皆さんに観てもらってからは、逆に言わなくなったんですね。多分、「良い物を作らなきゃ」っていうのと、「軽々しく映画を作る約束はしない」と、彼の中でなってるんじゃないかと。
福田 実際、お金も掛かりますしね。
室谷監督 そうです、お金の問題です。
シャイボーイ “責任”とかカッコいいこと言ってやったのに……何だ、そりゃ(場内爆笑)!?
室谷監督はそんな風に煙に巻いてみせたものの、シャイボーイの言葉が一番真実に近いのではないかと思わずにはいられない。ここはひとつ、室谷監督自身の口から朗報が告げられることを待ちたいと思う。
シネマスコーレはこの後、サイン会場となり、サインに並ぶファン一人ひとりの言葉に丁寧に受け答えする3人を中心に、笑顔は途切れることがなかった。
「落ち込んでいたんですが、元気が出ました!頑張ります!」
と言うファンのために、細身のシャイボーイは、黒の油性ペンで《頑張れ!》と太書きした。作品名よりも、自身のサインよりも大きな《頑張れ!》だった。
誰が呼んだか、ホトトギス……
“熱きひとみの奥に燃える炎”を胸に秘めた全国の名もなきヒーロー達は、今日も“明日の花を 探し行く”のだ!
ライト・ナウッッ!!
取材 高橋アツシ