想い出つつむ天球儀 『流れ星が消えないうちに』舞台挨拶レポート


画像012015年11月22日、『流れ星が消えないうちに』舞台挨拶つき先行上映が開催されたセンチュリーシネマ(名古屋市 中区)・センチュリー1(154席)は、満員の観客を飲みこんでいた。橋本 紡の原作小説は30万部を誇る人気作で、2016年1月2日からの同劇場ロードショーを待ちきれない沢山のファンが、柴山健次監督、主演の波瑠、入江甚儀の登壇を割れんばかりの拍手で迎えた。柴山監督は愛知県(常滑市)の出身と言うこともあり、特に感慨深い舞台挨拶のようであった。

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MC この作品が作られた経緯を教えていただけますか?

柴山健次監督 4年くらい前に原作を買って、読みはじめた時から自分に刺さるものがありました。色々あって(橋本紡)先生に「どうしても撮らせてほしい」って手紙を書いて、お許しを頂いたんです。実際に撮影を行ったのは1年前で、本格的に動き出したのがその更に半年前くらいでした

入江甚儀 監督自ら橋本紡さんにお手紙を書かれたくらい熱い思いが、この作品に込められてるんですね

柴山監督 この作品は、どうしても撮りたかったんです。“いわゆる恋愛モノ”でない原作の良さを撮りたいと思いまして

MC 波瑠さん、“奈緒子”と言う役は如何でしたか?
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波瑠 奈緒子のことを考えるだけで、本当に胸が痛くなるようでした。でも、現場は暖かい雰囲気だったので、そこで救われましたね

MC 入江さんも、とっても明るい感じですもんね

波瑠 入江くんは本当に明るいですよ!昨日も、えらい遅刻をしてきて(笑)

入江 いやいや、色々あったんですって……やめてくださいよ(笑)!昨日は3回舞台挨拶があって、移動する最中に帰宅ラッシュに巻き込まれちゃったんです(苦笑)

波瑠 同じタイミングで同じ場所から出発したはずなんですけどね(笑)

MC 撮影の時は、どんな風にお互いの距離感を取ってたんですか?

波瑠 そうですね……(奈緒子と巧は)“キャッキャッ”とはしゃぐような感じではないですが、撮影期間が限られてる中で人間関係を築かなきゃいけないので、出来るだけ早く仲良くなれたら、と――始まるまではそんな風に意識していたんですけど、始まってみたら凄く自然に仲良くなれて、他のキャストの方ともすぐに距離が縮まりました

入江 全然、無理してなかったですし……共演の皆は、一緒に居て凄く楽でした

柴山監督 現場は、ずっとアットホームな雰囲気だったんですよね

波瑠 一軒家で撮影してたんです……台所があって、お風呂があって、トイレがあって、幾つか部屋があって。家の中で撮影する時はスタッフさんもいらっしゃるんですけど、外に出てたりするとそこが控え室代わりになって、皆ソファーに居たり、上の畳の部屋でゴロゴロしてたりとか……本当、家族みたいでした(笑)

MC 撮影の時は、寒かったとか?

柴山監督 12月でしたからね……

入江 ちょうど寒波に当たっちゃって、2月並みの寒さだったらしいです

波瑠 寒かったですよね

MC しかも、夜のシーンが多いですもんね

入江 そうなんです。寒さと言うより、頬っぺたに刺さってくる痛みのようでした(笑)

柴山監督 富士山の麓で撮るカットがあったんですが、雪の予報がどんどん迫ってきてて……もう1日遅れてたら、雪になっちゃうくらいだったんです

MC プラネタリウムのシーンがとっても印象的だったんですが、この劇場は昔プラネタリウムだったんですよ

波瑠 そうなんですか?

入江 へえー……凄いですね

波瑠 あのプラネタリウムは、凄くリアルだったんですよ……本当に手作りで。一回トラブルで崩れ落ちたりして、それも本当にリアルだと思って(笑)。学生の奈緒子の気持ちとリンクして、凄く感慨深い思いで見ていました

柴山監督 実際、美術部さんが本気を出すと、ちゃんとした物が作れちゃうんですよ。物語に合わせてちゃんとしてない物を作ろうとすると……壊れちゃうんですよね(笑)

入江 匙加減が、難しいですよね(笑)

MC プラネタリウムもそうですが、星を見るシーンが多かったですよね
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入江 実際、撮影中に(星が)流れたんですよ。加地役の葉山奨之に「おい、甚儀、流れ星流れてるよ!」って言われて、行ってみると、本当に流れてて!ちょうど双子座流星群か何かの日で、2~3個見られました

MC 願い事は言えたんですか?

入江 いえ、見とれちゃってて、ダメでした

柴山監督 この話のオチとしては、男二人で見てるんですよね(笑)

波瑠 私だけ見られなかったんです、出番の無いシーンだったので(苦笑)

柴山監督 スタッフも教室の中で準備してたんで、本当に二人っきりで……

入江 二人っきりで見ました……奨之と、ロマンチックに(笑)

波瑠 青春ですね

入江 青春……ですかね(笑)??

MC 今回の作品で印象に残っていることはありますか?

波瑠 原作は、日常的と言うより文学的なところが凄く多くて。でも、脚本は日常的な部分を大事にしてるところもあって。私は、加地くんの言葉が一番印象に残ってますかね……「動いてこそ、見えてくるものがある」って言うのは、登場人物皆に当てはまることですし、単純に私個人として、胸に響く言葉でした

入江 波瑠ちゃんが言うように、原作も台本も文学的な言葉がたくさん含まれていて、台本読んでるだけでも諭されるんです。その中でも、奈緒子が「ずっと一緒に居てね」って言うんですよ……ある意味、生々しい台詞だったので、観ていてグサッと来ましたし、そこは巧の“器の大きさ”次第だなと思いましたね

柴山監督 撮影に使わせていただいた学校の生徒さんにエキストラで協力していただいたんですが、フォークダンスなんて本当にリアルなシーンが撮れたと思ってます

MC 最後に、一言ずつメッセージをお願いします

入江 この映画のことを少しでも好きだと思っていただけたなら、僕たちは凄く嬉しいです。こう言った形で描かれる恋愛映画って中々ないですけど、僕は観ていて、生きてく上での恋愛ってこう言うことなんだと思ったんですよ。この映画を通じて何か感じていただけたのなら、家族や友達、恋人、色んな人に伝えていただいて、色んな人に観ていただけたなら本当に嬉しいと思います

波瑠 大切な人を喪ってしまうこと、誰かの死と言うのは、とても悲しくて……何が悲しいって、それでも生きていかなきゃいけないのが本当に辛いですよね。死の受け止め方、悲しみ方って、本当に人それぞれだと思うので、観ていただいた皆さんの色々な捉え方があると思います。形を変えて……勇気になったり、何かを想いかえす切っ掛けになったりしながら、沢山の人に届いていくものなんじゃないかと思うんです。なので、沢山の人に観ていただければと願っています

柴山監督 最近の映画は、テレビの影響もあって早いドラマ展開になっているんですけど、映画が持っている“深い呼吸”と言うものを再現したくて、しっとりとしたテイストにしたんです。映画で体感する2時間って心に沁みこんでくる時間として必要だと、撮ってみて改めて感じました。その為にも、是非映画館で観ていただきたいと思います

全国の劇場でロードショーが始まっている『流れ星が消えないうちに』は、名古屋センチュリーシネマでは2016年1月2日の封切りとなる。
ステレオタイプの恋愛映画では味わえない124分の鑑賞体験を、是非お近くの劇場で体感して欲しい。
映画館の暗闇に“流れ星”見つける時、あなたの胸に去来するのは、誰なのだろう――。

取材 高橋アツシ

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