草なぎ剛、鋭い質問で沸かせた!『パラサイト 半地下の家族』凱旋来日舞台挨拶



「第92回アカデミー賞」で作品賞をはじめとした4部門を受賞し、「第72回カンヌ国際映画祭」では最高賞のパルムドールを受賞した『パラサイト 半地下の家族』の凱旋来日舞台挨拶が行われ、ソン・ガンホ、ポン・ジュノ監督、サプライズゲストの草なぎ剛が登壇した。(2020年2月24日 TOHOシネマズ六本木ヒルズ)

外国映画初のオスカー獲得で映画の歴史を塗り替えたことにより、さらに勢いをつけ大ヒットを続けており、凱旋来日を果たした2人の大ファンで、チョナン・カン(韓国の芸名)としても活動している草なぎが花束を抱えてサプライズで現れると、突然の出来事に会場は大きな驚きと歓声に包まれた。

MC 日本のファンに向けてご挨拶をお願いします。
ポン監督「劇場をいっぱいにしてくれてありがとうございます。オスカーの受賞以前に、日本のみなさんが劇場に足を運んでくださり、とても熱い反応を送ってくださったことに心から感謝申し上げ、嬉しく思います。みなさんいい好みをお持ちだなと思いました」

ソン「言語は使いますが、映画は言語が違っても共感できることをみなさんが見せてくださいまして、本当に感動しています」

MC 日本で公開した韓国映画で歴代1位に輝きました。どんな風にお考えでしょうか?
ポン監督「2000年の頭に韓国映画が活発に公開され、愛されていた時期がありました。その頃は、日本映画も韓国で沢山上映されて関心を持たれていました。久しぶりに韓国映画が大きく愛されてヒットしていることが、両国の映画ファンにとってお互いの映画に関心を持って愛し合えるきっかけになればと願っています」

ソン「興行収入30億円突破となっていますが、数字よりも大切なことがある気がします。監督もおっしゃっていましたが、韓国と日本のお互いが、触れ合って共感できることが大切だと思います。韓国でも是枝裕和監督、阪本順治監督などの作品が沢山愛されています。お互いが共感できるきっかけになった気がして、嬉しく思います」

MC オスカーを獲った時はどんなお気持ちでしたか?
ポン監督「まったく計画していたことではありませんでした。映画のなかにも『無計画が最高の計画だ』というセリフがありますけど、嬉しくもあり、少し気が動転しているような状態でした。本当に貴重な賞をいただき、光栄です。アカデミー賞以前に、日本、フランス、メキシコなど様々な国で熱烈な反応をいただきました。受賞以上に、観客のみなさんの熱い反応をとても嬉しく感じています」

ソン「受賞の時、嬉しさを噛みしめながら控えめにしていたんです。ポン・ジュノ監督のあばら骨を折らないように噛みしめていました」

ポン監督「カンヌで賞をいただいた時に、僕のあばら骨を強く叩いていただいたので、実は少しヒビが入っていたようです(笑)」

ソン「なので、今回は首のうしろ、背中と顔を中心に抱きしめました」

MC 本作をとても愛してくださって、大ヒットを喜んでいる方が駆けつけてくれました。草なぎ剛さんです!
草なぎ「(韓国語で)今日はわざわざ来てくださってありがとうございます!そしてアカデミー賞の受賞、おめでとうございます。ソン・ガンホさん、ポン・ジュノ監督の熱烈なファンです。ソン・ガンホさんは一番尊敬している俳優なので、ソン・ガンホさんならどう演技をするかを考えながら演技をしています。最近は韓国語の勉強をする時間がなくて忘れてしまいました」

草なぎ「(チョナン・カンとして活動している時に)何度もオファーしていたんですけど、機会が合わなくて。今日初めてそこ(出入口)で会ったんです」

ソン「もう20年くらい前からチョナン・カンさん、草なぎさんが僕のことを好きでいてくれていると聞いていたので、本当にありがたかったですし、ぜひ会いたいと思っていました。今日は遂にお会いできたので記念すべき日ですね」

ポン監督「僕もチョナン・カンさんが様々な活動をしてらっしゃるので、よく存じ上げていました。ソウルで公演もされていて、その公演も観に行きました」

MC 草なぎさんはポン・ジュノ監督作品を愛してやまないそうですが。
草なぎ「全部観ています。あ、『スノーピアサー』だけ観てないんですけど。すみません」

MC 本作の感想を教えてください。(以降、ネタバレあり)
草なぎ「一流のエンターテインメントになっていて、退屈するところがひと時もなかったんですよね。観終わった後に話したくなるような作品で、しっかり家族愛も描かれていて。またすぐ観たくなるような作品で。お父さんが息子に対して、計画がないのに『計画があるんだ』と言い聞かせるところがすごく好きで。計画を立てなければ失敗することがないということで、僕も基本的にノープランなので、とっても心に響いたシーン」

草なぎ「ポン・ジュノ監督とソン・ガンホさんのタッグで『殺人の追憶』とか好きなんですけど、危機迫った部分でも、ブラックユーモアが効いているというか。人ってもしかしたら、大変な時に違うことを考えたりするのかなと。そういうことをリアルに感じるんですよね。今回も、誰しもが持っている喜怒哀楽という感情が色んなところに散りばめられていて、好きな作品です。全部好きです!」

草なぎ「あと、ソン・ガンホさんが(劇中で)インディアンの(羽飾りを)被っているじゃないですか。あれ、すごく似合いますよね!ソン・ガンホさんは赤が似合っていて、パク社長は黒で。あれは重要な小道具でもあった気がするんです。そっちをやっつけてしまうかっていうアップには、黒じゃなくて赤ですよね」

ポン監督「草なぎさんにそうおっしゃっていただいて、何となくそういう意味もあったのかなという気がしてきました。この後インタビューがあれば、このお話を引用させていただいてもいいでしょうか(笑)」

ソン「私が被ったのが赤だったんですけど、赤の方が原始的で先住民のイメージがあったと思います。黒の方が侵略者の意味があったような気がします。監督も私もまったく考えていなかったことでした。草なぎさんに言っていただいて本当にそうだなと思いました」

ジュノ監督「日が落ちる前に早く撮らなければということで頭がいっぱいだったので、草なぎさんが新たな脈略でそのシーンを整理してくださったので、映画がより豊かに感じられるような気がします。このあと行われるインタビューでは引用させていただきたいと思います(笑)」

草なぎ「パク社長は、みんなが家族だとわかったのか。その部分はどうなんですか?」

ソン「パク社長は知らないまま亡くなったのではないかと思います。だとしたら幸いだったと思います」

ポン監督「パク社長は、車のキーを掴むことに精一杯だったと思うんですけど、そこで起こっている状況はまったく理解できていないままあの世に旅立たれたと考えると、少しかわいそうな気持ちにもなります」

MC 最後にメッセ―ジをお願いします。
ソン「この映画のタイトルは「パラサイト」=寄生虫ですけど、内容はどう生きたらいいのか、どう生きるべきなのか、その共生に関する映画です。国境と言葉の壁を越えて、日本でもこの映画に対してみなさんが共感してくださり、映画を通して触れ合えるのは、この映画の持っている意味とよく合っていると思います。心のなかにずっと長く残る映画になってくれたら嬉しいです」
ポン監督「映画そのものとして、俳優のセリフや眼差し、カメラワークやあるシーンが、みなさんの記憶に長く残って欲しいという素朴な願いを持っています」

取材・撮影 南野こずえ

『パラサイト 半地下の家族』
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