二階堂ふみ、杉野希妃らが登壇『ほとりの朔子』(第26回東京国際映画祭コンペティション部門)
第26回東京国際映画祭コンペティション部門にて、二階堂ふみ主演作『ほとりの朔子』の上映が行われ、上映前の舞台挨拶では、二階堂ふみ、鶴田真由、太賀、古舘寛治、小篠恵奈、杉野希妃(プロデューサー/出演)、深田晃司監督が登壇。また、同日行われた記者会見には、二階堂ふみ、杉野希妃、深田晃司監督が登場。(2013年10月19日)
2010年の本映画祭にて、「日本映画・ある視点部門」で作品賞を受賞した『歓待』の深田晃司監督・杉野希妃プロデューサーが再びタッグを組んだことでも話題の本作。杉野は「私自身は、東京国際映画祭に育てられたと言っても過言ではないです。今回の作品は、自分が大好きで、人間的にも魅力的がある役者さんたちにオファーしましたが、素晴らしい演技を見せてくれています。いつかコンペティション部門に出せたらいいなと思っていましたが、『歓待』の延長線上にあるような、よりパワーアップした作品になりました」とプロデューサーとして、仕上がりに満足した様子。
セリフについて意識している事は?との質問に対して、深田監督は「関係性のなかから作れる言葉を大事にする。名台詞を書かない。本音を話させない。を意識して脚本を書いています。人はそう簡単に本音を話さないと思うんです。友達と話していても、家族と話していても、関係性のなかで、その場の状況次第の目的を持って話すのが人間だと思うので。その3つを意識して脚本を書いています」とのこだわりが披露された。
二階堂は「現場の印象は自由にやらせていただいてるなと。言葉は多いと思うんですけど、監督の意図として、本音を話させないとか、大人の上辺が映画の中で見えていたと思う」と語った。
また、杉野は「監督が気持ちを込めてセリフを言うということを好まないので、別の事を考えながら意識せずにセリフを言ってたりしています。語尾とかも自分の言葉にして発せられるような感覚で、自由にやらせていただけました」と女優としてコメント。
上映を観た二階堂は、「映画にはやっぱりコーラが合うなと(笑)」と、笑いを誘う一面も。また「ものすごくリラックスして取りかかれたので、それがにじみ出ている作品」と本作への思いを語った。
海と山のほとりで、子供と大人のほとりで揺れる主人公・朔子の淡い恋心が描かれてる『ほとりの朔子』。大人たちのなかで人生の複雑さを覗きみる物語の中には、社会派要素も、クスッと笑える要素も盛り込まれている。
『ヒミズ』、『地獄でなぜ悪い』などで、掴みどころのない、ぶっ飛んだ二階堂に魅了された方も多いはず。本作では180度異なる役だが、清純かつナチュラルな存在感は、映し出される美しい風景と見事に一体化しており、素の二階堂ふみを垣間見ているような感覚に陥るだろう。
取材・スチール撮影:南野こずえ
『第26回 東京国際映画祭』
2013年10月17日~10月25日
公式サイトhttp://tiff.yahoo.co.jp/2013/jp/