反響を受け1週間限定の再再続再映が決定した『大津波のあとに』『槌音』。満員となった公開初日の上映終了後、森元修一監督(『大津波のあとに』)、大久保愉伊監督(『槌音』)による舞台挨拶が行われた。
写真左より、大久保愉伊監督、森元修一監督。(2012年1月7日 渋谷アップリンクX)

森元:私と大久保監督は、元々映画作りの仲間でしたが、奇しくも3月にそれぞれの理由で被災地に伺っています。私の場合は、直接血縁があるわけではないのですが、仙台・石巻に関しては震災前から度々訪れていました。『大津波のあとに』は僕個人が見たもの、感じたことを1人家で見るのにはとても負いきれないので、多くの方に見ていただくべきではないかと思いました。

大久保:今回『槌音』が映画という形で多くの方に観られるということに対しては、未だに抵抗感もありますが、『槌音』をご覧になった方から、何気ない家族の日常が3月11日に失われてしまったということ、何万という世帯の人々が一生を失われてしまったということを考えるきっかけになってよかったという意見をいただいて、今観ていただくことに意味があるのかなと思いました。何気ない記録の映像なのですが、大槌町を知らない方には、“大槌町”という名前と街の風景を脳裏に留めていただきたいと思います。それが映像の力だと思うのです。映像を観て、記録を観て記憶に残していただける。アクションを起こせる方は実際に被災地に行って何か活動をするというのも素晴らしいことだと思います。ただ、なかなかそういう風にアクションを起こせない方にも、こういうものを観ていただいて記憶に留めていただくだけで、被災地の力になるのではないかと思います。 

森元:地元の方に伺って驚いたのが、「観光でもいいから見に来て欲しい」と仰っていたことです。自分たちが報道に忘れられているのではないか、風化されているのではないかと、そういう風に思っていらっしゃる方もいると伺いました。東京に暮らしていると、観光という心持ちで被災地に伺うというのはできないと思ってしまいがちなのですが、とにかくまず見ていただくことでまた違う思いを持っていただけるのではと、被災地の方も思っていらしたのがすごく印象的でした。

大久保:大槌町の近況ですが、今全員が仮設住宅に入ってはいますが11月の段階で孤独死が3名出ています。まだまだ町が再生するというのには程遠い現状ですので、ぜひ大槌町を忘れないで気にかけていただけたらと思っております。

『大津波のあとに』監督:森元修一 『槌音』監督:大久保愉伊
公式HP http://fartheron.soragoto.net/index.html 
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2012年1月7日(土)より渋谷アップリンクXにて、1週間限定のモーニングショー。
2012年1月28日(土)より松山・シネマルナティックにて、1週間ロードショー。
2012年3月6日(火)より札幌・蠍座にて、2週間ロードショー。
2012年3月17日(土)より浜松・シネマイーラにて、1週間ロードショー。

取材・編集 佐藤久美
取材・スチール撮影 南野こずえ