岡田将生、優しさに負けないように演じた『家族のはなし』初日舞台挨拶
鉄拳が2013年に信濃毎日新聞の企画として発表した『家族のはなし』が満を持して映画化。公開を迎え、主演の岡田将生をはじめ、成海璃子、金子大地、財前直見、時任三郎、鉄拳、山本剛義監督が初日舞台挨拶に登壇した。(2018年11月23日 イオンシネマ板橋)
リンゴ農園を営む優しい両親とその一人息子・拓也。スポーツで神童と呼ばれた幼少期、怪我。上京して大学生活の傍らのバンド活動。そして挫折。上手く行きかけてはつまづくことを繰り返す自分に苛立ち孤立していく拓也は、田舎でリンゴを愛し育てることに全てを注ぐ父親をいつしか疎ましく思うようになっていた。「何もない田舎で同じ事を繰り返しているつまらない人間だ!」八つ当たりをする息子を何も言わず笑顔で受け止める父親。そんなある日、夢破れて久しぶりに里帰りした拓也は、“父親が大好きだった頃の自分“と出逢う。「お父さんのリンゴ、美味しいよ」わがままで身勝手な自分を黙って支えていてくれた家族、注がれていた愛情に気づいた拓也に小さな、ささやかな奇跡が起こる。
MC 今回岡田さんが演じられた役どころというのは、都会に出てバンド活動をしながらもなかなか上手くいかなくて両親に怒りをぶつけてしまうような青年なんですけど、実際に演じてみていかがでしたか?
岡田 すげえ怒ってました。お父さんに。
MC 共感できる部分はありましたか?
岡田 そうですね。色々な家族がありますけど、本当に無償の愛をくださる父親だったので、安らぎと怒りの絶妙なところでずっと撮影させてもらったなあと思っています。
MC 時任さんと財前さんに是非お聞きしたいのですけれども、実際ご両親を演じた感想を伺いたいのですが。
財前 私も母になりましたから。とにかく「おいしいもの食べてる?」とか「元気にしてる?」とか「あんたが元気ならそれでいいわよ」ていうその気持ちをそのまま込めさせていただきました。
時任 たまたまなんですけど、この作品の直前に別の作品で財前さんと夫婦役をやっていたので、その流れで「夫婦役なら財前・時任組に任せろ」みたいな雰囲気にが出来上がっていましたね。
MC 息子役の岡田さんについてはどう思いましたか?
財前 存在自体がピュアでかっこよくて、出来すぎた息子だな、ありがたいなと思っていました。
時任 怖かったです。迫真の演技だったので。
自分自身の印象を「怖かった」と時任が回答したと勘違いした岡田は、時任を見つめて絶句していたが「芝居のことだよ」との訂正を受け、「久々に絶句しました」と安堵の表情を浮かべていた。時任は、岡田の迫真の演技のおかげでナチュラルな反応を作ることが出来たそうだ。「彼には感謝しています」と嬉しそうに話していた。
MC 岡田さんは、お父さんとお母さんが時任さん、財前さんだった印象はいかがでしたか?
岡田 撮影自体は短い時間だったんですけど、短い時間の中で優しく包んでくれて、迎え入れてくれたので。僕自身反発しないといけないのに、優しさにたまに負けてしまうときもあったりして。「優しすぎる」って思いながら、その優しさに負けないようにちゃんとやらないと、と思っていました。
イベントの間、岡田と時任は終始笑顔を見せ、楽しそうなやり取りをファンに披露。仲の良さが伺える舞台挨拶となった。イベントの終盤、岡田のサプライズで時任と財前に花束が贈られると、時任は「めちゃくちゃ嬉しいです」と感無量。財前も「昨日はいい夫婦の日でしたもんね。それも含めてプレゼントをいただけて嬉しいです」とにっこりと微笑んでいた。
最後に、MCより締めの挨拶を求められた岡田は、「鉄拳さんのような優しい方の書くストーリーは素晴らしくて、この原作で映画をやれたことが本当に嬉しいです。見終わった後に家族との接する時間を作ってもらえたら嬉しいと思います。ぜひこの映画を末永くお願い致します」と真摯な表情で語り、初日舞台挨拶は温かな雰囲気の中幕を閉じた。
取材 福井原さとみ
『家族のはなし』
Ⓒ「家族のはなし」製作委員会
2018年11月23日(金・祝)よりイオンシネマにてロードショー