今をときめく井浦新×成田凌共演の注目作『ニワトリ★スター』完成披露試写会



今をときめく俳優、井浦新×共演の注目作『ニワトリ★スター』の完成披露試写会が行われ、井浦と成田をはじめ、沙羅マリー、阿部亮平、LiLico、津田寛治、かなた狼監督が舞台挨拶に登壇した。本作品はかなた狼監督自身の小説が原作であり、記念すべき監督デビュー作でもある。(2018年2月10日 スペースFS汐留)

30代も半ばになり、自堕落な生活を続けることに焦る草太(井浦新)と天真爛漫だが誰にも立ち入れない闇を抱える20代の楽人(成田凌)は共に奇妙なアパート「ギザギザアパートメント」で大麻の密売を生業にしている。互いに干渉せず、自由で楽しい共同生活を送る2人だったが、楽人が思いを寄せるシングルマザーの月海(沙羅マリー)と共に生きることを願った時、運命は予期せぬ方向へ進んでいくことに――!?都会の吹き溜まりで出会った、傷だらけの男ふたりのバイオレンス・ラブ・ファンタジー。

主演の草太を演じた井浦は、監督より「草太の役は脚本ができる前から井浦に演じてほしいと思っていた」「井浦新という型は捨ててくれ」と頼み込まれたとのこと。元々旧知の仲の2人だが、意外にも仕事を共にするのは初めての経験だそう。司会者から完成した作品の感想を問われると、井浦は「無茶苦茶な映画ですね」と自信に満ちた表情で答えた。「深く考えずに、気持ち良く監督の罠にはまっていってほしい」

天真爛漫な楽人を演じた成田は、本作品のキャスティングの話を耳にして「絶対に楽人役は自分が演じたい」とスイッチが入ったという。「僕しかこの日本に楽人という役を演じられる人間がいない!」と言い切り監督に熱い気持ちをぶつけたそうだ。監督は当時の状況を思いだし「もう(成田が)叫んでましたよね。僕しかいませんっ!みたいな」と楽しそうに語った。

劇中の草太と楽人の関係性を自然に演じるため、井浦と成田はクランクイン前の10日間、生活を共にして親交を深めた。成田によると、撮影は生活の延長線上で始まっていて境目が無かったようだ。「(共同生活で)キスとかしたの?」とからかう監督と共に、共演のLiLicoが「キスぐらいはしたんじゃないの?」とたたみかけ、笑いあう出演者たち。作品がディープで混沌とした内容のため、撮影現場はさも殺伐としていたのでは?と思いきや、出演者たちのチームワークは抜群。LiLico曰く、「今まで沢山の作品に関わってきたけど、終わった後でも皆がつながっていて、こんなに皆が一つになっている現場は初めて見ました」

本作で監督が心掛けたことは、出演者同士が「人と人としてお互いを知る」ことで、様々なワークショップを行ったそう。その中で、出演者の沙羅が特に印象深いと語ったワークショップは、沙羅、成田、監督の3人で手をつなぎ、部屋の中で2時間程「人生を語る」という内容のものだった。「墓場まで持っていかないといけないような秘密を打ち明けた」と恥ずかしそうに告白する沙羅。共にワークショップに参加した成田は、「この作品は自分の中にある根本の汚い部分とかを全部出していかないと、共有すべきひとに共有しないと成り立たないというか、いいものにならないので」と当時を思いだしながらしみじみと語っていた。

舞台挨拶も佳境。完成披露を迎え、今現在どのような心境か?という質問に対し監督は「もう本当に送り出す、っていう気持ちです。いろんなところで『ニワトリ★スター』はちょっと暴力性がある、と言われているんですが、全然こわくないよ、と。現実の方が麻痺しているじゃないですか。非現実のほうから人間の感情を揺さぶりたい。僕は暴力が大嫌いだから痛く残忍に描いているんです。(暴力が)気持ちよくなってほしくないから。何が正解か分からない世の中だけど、まあ人間てこういうことなんじゃないの?っていう。そういう意味でださい映画です」熱を帯びた表情で真剣に語り、「今の日本映画界でやったらあかんことをほとんどやらかしました。コンプライアンスという文字を辞書から消しました」といたずらに笑った。舞台挨拶は大いに盛り上がり、会場は笑いに包まれ終了した。

2018年度最大にして最高の問題作になるかもしれない本作は3月17日よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショー、3月24日よりシネ・リーブル梅田、シネマート心斎橋にて公開。

取材 福井原さとみ

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