“いずこねこ”は何処へ??『世界の終わりのいずこねこ』西島大介スペシャルインタビュー


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3月14日(土)新宿K’s cinemaにて公開となり、密かにカルト映画化している『世界の終わりのいずこねこ』。公開前からTwitterでも、役人格で情報を発信し、本作で共同脚本・コミカライズ化・出演の3役を担い大活躍中のミイケ先生こと、西島大介さんに単独インタビューを行いました。
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Q:本作を『ブレードランナー(リドリー・スコット監督)』とよくお話されていますが、西島さんにとってのカルト映画をあげるとしたら、どんな作品ですか??
西島:「『世界の終わりのいずこねこ』に似た感じのカルト映画と考えると、『ブレードランナー』と、『未来世紀ブラジル(テリー・ギリアム監督)』かな」

Q:なぜ『ブレードランナー』を、カルト映画と思われるところまで、好きになってしまったのですか??
西島:「伝説化しているからでしょうか。まず、一回観ただけではわからない。賛否が存在する。ずっと気になる。謎が謎を呼び解釈が多義的。『ブレードランナー』って、ディレクターズカットや最終版とか、やたらヴァージョンが出るじゃないですか。そういうところも好きです。今でこそ、カルトSF映画の名作といわれているけど、僕が日本初上映をみたかといわれると、観たことないし。いったいどれほどの人が最初の上映をみたことあるんだろうかというと、きっと誰も観ていない。そう考えると、今のうちに(新宿)K’s cinemaに『世界の終わりのいずこねこ』見に来てね!って思います。カルト映画の誕生」

Q:今後10年かけて、『世界の終わりのいずこねこ』はどういう作品になっていくのでしょうか??
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西島:「アイドル映画と、カルト映画のふたつの役目があると考えています。アイドルが元気に動いている内はアイドル映画でいいんですよ!ファンにとっては本人がそこにいることが重要。みんながアイドルを好きになるのは、すぐに成長して、活動を辞めてしまう儚い存在なので、その瞬間の刹那的な状況を観に来きてくれる。
でも『世界の終わりのいずこねこ』は、アイドル映画であると同時に、制作半ばで“いずこねこ(茉里)”が終わることを運命付けられていたので、これはカルトSF映画にするしかないって判断しました。カルト映画を一言でいうと、永遠性だと思います。解き明かそうとしても、永遠に解き明かされない謎というか。アイドル映画として始まった『世界の終わりのいずこねこ』を、アイドルがいない世界でどう存続させるか、“いずこねこ”の活動休止が発表されたときから、ずっと考えていました。
“いずこねこ”ラストライブが渋谷 WWWであって、本人のライブと一緒に(映画)上映があって、この形がアイドル映画の一番理想の発表形態で、ピークはそこだったと思います。その上で、この極めて不思議なプロセスを経て生まれた映画を、“いずこねこ”本人が稼働出来ない世界で、どうやって伝えていくか。それを今実践することが、僕の役目だなと思っています。
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この規模の映画で、CDが出て、コミカライズが出て、写真集が出て、展示までやるって、普通はないですよね!それは関わったスタッフが、ひとりひとり、本来の仕事を、映画と同時にちゃんとやっているからだと思うんです。映画とコミカライズ、サントラ盤や写真集を行ったり来たりして相互補完しながら深く世界を味わってほしい。
僕は最終的に全てを支配していたのは、“いずこねこ”っていうたった五文字の平仮名かなと思っていて。“いずこねこ”って名前が既に、何処かに行っちゃいそうじゃないですか。結局どっかいっちゃったんですけど、“いずこねこ”って名前である以上、それすらも意外とみんな納得出来てしまう。最終的には、この“いずこねこ”の五文字が、なにか、未来からのプログラムのように作動して、僕に脚本や漫画を描かせたりしたのかなって、最近はそう考えています」

Q:竹内道宏監督を宛書に脚本を書かれたとのことですが、最終稿まではどのようにして辿りついたのでしょうか??
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西島:「最初に竹内監督の参加は、決定ではなかったんです。“いずこねこ”の音楽があって、それを元に茉里さん主役で撮りたいって言われたので、SF的な歌詞からイメージを拾ってゆきました。先日久しぶりに、茉里さんと話すきっかけがあった時に、「SF全然わかりません!」って言われて、「え?全然わかんない?『アルマゲドン(マイケル・ベイ監督)』とか知ってる?」って聞いたら、「観てない」って(笑)。「(サクライケンタの)歌詞も理解できたことが一度もない」って、それも面白い話だなって思って。
僕からしたら、サクライさんの歌詞や音楽からはSF的な風景が浮かんできます。『jupiter girl』に出てくる「白い部屋」って歌詞は、『2001年宇宙の旅(スタンリー・キューブリック監督)』にも、白い部屋出てくるんですけど、あの感じしか浮かばない!でも茉里ちゃんはそうではなくて。僕は、アイドルっていうものを掴み兼ねているけれども、“いずこねこ”の音楽から、SF性だけはすごく解釈しやすくて、まずそれを素直に書いたのが最初のプロットです。
監督は決まっていなかったんですけど、直井(プロデューサー)さんと話をしていると、竹内監督にすごく撮らせたいんだなっていうのはすごくわかるんですよ!(竹内監督は)ライブを撮っている自覚が強く、映画に対してどういう思いがあるか、監督の自覚や展望があるかはかなり未知数!でも、周りの人たちは竹内監督に撮らせたいと思っているのはわかったので、配信描写は宛書きはしました。前作『新しい戦争を始めよう(竹内道宏監督)』を見たときに、撮り方や機材は、凄くチープで乱暴なんだけど、壮大なお話を描いているなって感じたので、僕が“いずこねこ”の音楽から感じた壮大さを、竹内監督ならきっと撮れるだろうという確信の元、脚本を進めて行きました」

Q:映画『世界の終わりのいずこねこ』をみたお客さんに、どのような気分で、劇場を後にしてほしいと思っていますか??

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西島:「そこはコントロール出来ないですよね。好きに観て欲しいと思うし、ちょっと体験性が強い映画だと思うので、身を任せて体験してもらいたいなと。
竹内監督自身が、インターネットに救われたっていう、リアルな経験があるので、『世界の終わりのいずこねこ』の配信コメントに、監督の一番素直な本音が出てきていると思います。竹内監督の、その膨大な配信コメントによって、この映画は確実に新しいものになっているんですよ!
例えば、映画で費やされる言葉が、全て脚本だとしても、多くの観客や批評家は、配信コメントを脚本だと思わないですよね?実際にあれは脚本状態ではあえて書かない部分で、竹内監督が撮影経た編集時にひとつひとつ打っているものです。しかし僕はその配信コメントも含めてこの作品の脚本だと考えていて、ゆえに共同脚本ってクレジットになんだなと思っています。この映画で、一番演出が付いているのは、配信コメントの数や出るタイミングや位置。いわゆる俳優演出的な演技とは無縁な映画だけど、監督が狙った演技は22,222人の配信コメントだと、僕は思うんですよね。でも、そこに気付くお客さんはなかなかいないと思います。
でも映画が、20年経って2035年になったら、全部の映画そうなっているかもしれないし、この映画をニコニコ超会議でみたら、配信コメントの上に、配信コメントが重なって画面みえないですよね(笑)そういう可能性を孕んでいるから、未来の映画なんじゃないかなって思うんです。既に、オリジナル版と英語字幕のインターナショナル版があって、こっから先、確実にカルトSF映画の道を歩んでいるなと感じるです。コミカライズに関しては、そういう変わった映画だし、地下アイドルという無名な存在だし、その分恥ずかしくないものを作るぞって気持ちで描きました」
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Q:広島の個性的ミニシアター「横川シネマ」をボランティアで手伝い始めたことが本作に携われるきっかけとのことですが、当時、映画に対して、何か目指していたものや意義みたいなものがあれば、教えてください。

西島:「いや、映画について別に興味はなく、通っている映画館の館主がひとりで、ちょっと大変そうにみえて、手伝いましょうか?と、始めただけのことです。純粋なボランティアです。だから、『世界の終わりのいずこねこもお手伝いの延長で、ここまで来ているって気持ちもあって、不思議だなと思っています」

Q:本当は聞いてほしいのに、なかなか聞いてもらえない質問があれば教えてください。
西島:「映画の中(の美術)で、僕はデザインをしていないんです。CGが予算上使えないところは絵を描いたりはしますけど、木星人の未来の携帯電話とか、あれっては変な携帯電話だなって!あれは、ちんぐ(竹内監督)ワールドとしかいいようのない(笑)。猫缶もデザインしていません。西島さんデザインですか?と聞かれたら、違いますと言います」

Q:これからの飼い主さんになるであろうみなさんに、ミイケ先生からありがたいお言葉があればお願いします!!
西島:「ありがたくはないですけど、一言いうなら、この作品は文化の果てるところの映画だなと思うんですよ。文化の果てる場所で、創造的表現を果たしてあり得るんだろうかっていうのが、実は『世界の終わりのいずこねこ』の隠れテーマでもあります。

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蒼波(純)さんの「こっちはこっちで、なにがなんだかよ」ってセリフは、実は何も言ってないんですよ。どう読み解いても、観客もなにがなんだかわからないんですよ!でも、蒼波さんがそれを呟くことによって、成立してしまうというか、場を彼女が支配してますよね?それは凄いことだなって思うんですよ!映画にしかできないことです。
彼女は、何に反対し続けていたのだろうっていうことを、コミカライズを通して考え続けている側面もありますね。「なにがなんだかよ」とは何かって考え続けたら、10年経つんじゃないですかね?カルト映画の神髄だと思います。アイドルがいなくなっても、ある疑問は生き残る。何かを超越して。そう考えると、とかくリアルなの恋愛やアイデンティティを描きたがるインディー映画の中では、突出して広大な作品になったと思います。めちゃ変なんですけど。アイドル“いずこねこ”がちょっと前までいたから、それ込みでお客さんは何か分かったような気になってくれているけど、たぶんこの映画、時間が経てば経つほどわけわからなくなると思うんです!!」

取材:佐藤ありす

最後に、西島大介さんからプレゼントをいただきました!!みなさまからの応募、お待ちしています~♪
・『世界の終わりのいずこねこ』西島大介さんイラスト入りサイン色紙:2名さま
・『世界の終わりのいずこねこ』ご利益満点のミイケ先生シール:5名さま
*プレゼントの応募は終了致しました。たくさんのご応募、ありがとうございました。
*当選者の発表は、プレゼントの発送をもって代えさせていただきます。
*応募時の個人情報は、プレゼントの発送以外の目的には使用いたしません。

【STORY】
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西暦2035年。アイドルがいなくなった世界で起きた絶望と希望の物語。
原因不明のパンデミックの発生により「東京」が姿を消した後、突如飛来した木星人の支援を受けて大阪に建設された、かつての東京を真似た「関西新東京市」。しかも隕石が日々落下速度を速めており、もはや未来はない。
願えば叶うなんてこともない状況である。そんな諦観に満ちた世界の終わりに、父親の作った歌とダンスをネット配信している少女、イツ子(茉里)。ある日、木星からの使者「レイニー×アイロニー」(緑川百々子・永井亜子)が現れ、その数奇な運命が動き出す。反木星デモを続ける親友・スウ子(蒼波純)、そして結末が迫ってもなお「進路相談」を続ける担任教師・ミイケ(西島大介)、イツ子の両親(宍戸留美、いまおかしんじ)、そして地球の運命は-。

『世界の終わりのいずこねこ』
監督・脚本:竹内道宏
共同脚本・コミカライズ:西島大介
出演:茉里(いずこねこ) 西島大介 蒼波純 緑川百々子 永井亜子 小明 宍戸留美 蝦名恵 / いまおかしんじ
(C) 2014『世界の終わりのいずこねこ』製作委員会
3月14日(土)より、新宿K’s cinemaにて公開中!
http://we-izukoneko.com/

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