松たか子、阿部サダヲ共演『夢売るふたり』完成披露
2年ぶり主演の松たか子、阿部サダヲが登壇し『夢売るふたり』完成披露試写会が行われた。(写真左より:阿部サダヲ、松たか子、西川美和監督)2012年6月28日・日経ホール
松さん、阿部さんをキャスティングしたきっかけは?
西川美和監督(以下:監督) 初めてご挨拶させていただいた時、こういう言い方をするのは失礼かもしれないんですが、“あ、この人普通だなぁ”と思って。完全なサラブレッドなのに、普通って女優さんでは珍しい。今回は“普通の人”を描きたくて。あとは、内容がグロテスクな話なので“品”というものが必要で、そうでないとグチャグチャになっちゃうな、と思っていたので。阿部さんは、ずっと一緒にお仕事をさせていただきたいな、何かきっかけさえあれば…と思って狙ってたんです(笑)。お二人の組み合わせを、私も見たことないし、どういう雰囲気になるのかイメージがつかない部分もあったので。そこが化学反応を起こしてくれるとおもしろいなと思いました。
松さんと阿部さんの初共演について。
松たか子(以下:松) とても楽しかったです。お芝居をしていることを“楽しい”と思えるのは幸せだな、と思えましたので、好きな俳優さん(が共演)でよかったなと。自分の目が確かだったな(笑)、狂いはなかったと思いました。
阿部サダヲ(以下:阿部) 共演する前の松さんのイメージは、ほんと完璧な人、欠点の無い人、という女優さんかなと思っていたのですが、お会いしたら全然そんなことはなくて。監督からOK がかかっても「今ので良いでしょうか」と。普通…というか、さっきも入場時に転びかけてたり。普通より…下でもいいぐらい?(笑)でも芝居は本当に素晴らしい女優さんです。
『ゆれる』『ディア・ドクター』は男性目線の映画でしたが。今回女性目線で描きたかったものは?
監督 女性のみっともないところ。誰も見たことのないというか、厳密にはそんなことないんだろうけど、なかなかスポットを当てられない、同性からもスポットライトを当ててもらえないような、都会の片隅で一人、自分の生きる道を模索している女性というのを描いてみたいなと思いました。女の人の生活ってどんどん多様になっている、それだけに悩みも複雑で。30代とかになってくると、色んな複雑な思いを抱き、あがきながら、歩んで行くしかない、っていう。そういう、大人の女性の“生きづらさ”を描いてみようかなというのが今回ありました。
<垂れ幕トーク>
松 『男とは。と聞かれても答えに困るものである』
本当に思いつかなくて…。あまりにも困っていたら夫が考えてくれたんですが、その内容が「(男とは)歌舞伎の家の娘に聞くな」っていうもので、ちょっと波紋を呼びそうだったので(笑)。本当にわからなくて、白旗を上げてしまいました!すみません!
阿部 『女とは。うちのネコみたいである』
僕も松さんみたいに書きたかった。その勇気がなかった。いいなぁ…。そのとおりだと思う。だから、こんな答えになってしまったんですが(笑)。わかんない、ってことです。飼ってるんだか飼っていないんだか、なついているんだかいないんだかもわからない。なついていると思ったら、急にいなくなるし、なんだかよくわからないけど怒ってるっぽいときもあるし…。女の人っぽいなと思って。まぁうちのネコ、オスなんだけど。(会場笑い)
監督 『愛とは。と、語るやつほど、我愛(いと)しである』
まぁ、そんなもんです。むつかしいというか、色んな愛の形のひとつです、この二人が演じたのは。こういうつながり方でも、夫婦ってあるんだな、と。
これから観るみなさんへ一言ずつお願いします。
阿部 自分がこれまで役者をやってきて、今までやったことがない役、やったことがない表情を引き出していただいた不思議な映画だと思います。二、三回観て意見が変わってもいいなとも思います。
松 色んな見方ができる作品だと思います。自分以外の人の意見に寛容な気持ちで物語を楽しんでください。
【ストーリー】
東京の片隅で小料理屋を営んでいた夫婦は、火事ですべてを失ってしまう。夢を諦めきれないふたりは金が必要。再出発のため、彼らが始めたのは、妻が計画し、夫が女を騙す結婚詐欺!しかし、嘘の繰り返しはやがて、女たちとの間に、夫婦の間に、さざ波を立て始める…
『夢売るふたり』
キャスト:松たか子 阿部サダヲ / 田中麗奈 鈴木砂羽 安藤玉恵 江原由夏 / 木村多江 やべ きょうすけ 大堀こういち 倉科カナ / 伊勢谷友介 / 古舘寛治 小林勝也 / 香川照之 / 笑福亭鶴瓶
原案・脚本・監督:西川美和 ©2012「夢売るふたり」製作委員会 <R-15>
公式HP http://yumeuru.asmik-ace.co.jp/
2012年9月8日(土)新宿ピカデリーほか全国ロードショー