プライドなんか捨てちまえ!『神様はバリにいる』レビュー
笑うって元気になれることだなと感じる、新年早々爽やかマックスな本作!
たくさんの言葉が、あなたの「変わりたい」を後押ししてくれる!
必死で頑張っても報われず、膨大な借金を抱えている女社長の照川祥子(尾野真千子)は、自殺を思いつめてバリ島を訪れた。ひょんなことからコテコテの関西弁でコテコテの服装、見るからにヤクザ風で常に「爽やかやろー!」と叫ぶ、ガラの悪いアニキ(堤真一)と呼ばれる人物に出逢う。
「失敗した時こそ、笑え」「世界は縁で回ってんねん」と豪語するアニキは、見た目の胡散臭さとは裏腹に、バリ島の誰からも慕われている存在だった。その正体は……超がつくほどの大富豪!!!他人のせいにしたり、傲慢さに溺れていた祥子は、人生をやり直すため、アニキの下で成功のノウハウを学ぶ決意をする。
「ダジャレは新しい発想を生む」との言葉どおり、劇中ではツッコミどころ満載。だがその中にも、他人を思いやる気持ち、感謝、繋がり、人を信じること、恩返しはずっとしつづけるもの……。アニキの破天荒な行動には、全て意味があることを知る。さらにはアニキがバリ島にいる理由、独自の哲学で大富豪にまでのぼりつめた経緯が徐々に明かされていく―――。
堤真一が演じる、アニキっぷりに魅了されること間違いなし!また、アニキの側にいる、訳ありの青年リュウ(玉木宏)は、真逆なタイプだけに絶妙なコンビネーションを醸し出し、今回が俳優デビューとなるナオト・インティライミのストーカー役が、コミカルさに輪をかけてくれる。メガホンを取ったのは、『デトロイト・メタル・シティ』の李闘士男監督であることが腑に落ちる。
本作は、バリ島でアニキと呼ばれている日本人大富豪の実話を基にしたストーリーであり、アニキが様々な経験をした故に生まれた言葉たちが散りばめられているが、それらは“人として忘れてはいけないこと”である。そして、どんな成功哲学書を読むよりも、映像を通してリアルに向上心を掻き立てられるはずだ。スクリーンに映る美しい風景と共に、自分自身を見つめ直すキッカケと、変わりたい気持ちの後押しをしてくれる!
人は生きる上で、幾度となく困難という壁にぶつかる。誰かのせいにしても何も生まれないと分かっていても、素直になれない時だってあるものだ。しかし、いびつなプライドはいざ捨ててみると、ただの石ころだったと痛感するだろう。
当たり前に思ってしまっている存在への感謝を忘れず、大事なモノは見失わずに気づきたい。
文・南野こずえ
『神様はバリにいる』
キャスト:堤真一 尾野真千子 ナオト・インティライミ 菜々緒 / 玉木宏 監督:李闘士男
主題歌:湘南乃風「BIG UP」 原案:クロイワ・ショウ「出稼げば大富豪」
(C)2014「神様はバリにいる」フィルムパートナーズ 配給・宣伝:ファントム・フィルム
公式サイト www.kamibali.jp/
2015年1月17日より、新宿バルト9他 全国ロードショー