菅田将暉、お別れするつもりで演じた『生きてるだけで、愛。』完成披露上映会



『生きてるだけで、愛。』の完成披露上映会が行われ、主演の趣里をはじめ、菅田将暉、仲里依沙、西田尚美、石橋静河、織田梨沙、関根光才監督が登壇した。(2018年10月20日丸の内ピカデリー)
原作は2006年に劇作家・小説家の本谷有希子が発表した同名小説。他者とのつながりを求める現代の若者たちの心情をリアルに綴った、エモーショナルなラブストーリーだ。

生きてるだけで、ほんと疲れる。鬱による過眠症のせいで引きこもり状態の寧子(趣里)と、出版社でゴシップ記事の執筆に明け暮れながら寧子との同棲を続けている津奈木(菅田将暉)。ある日いつものように寧子が一人で寝ていると、津奈木の元カノ安堂(仲里依沙)が家に訪ねにやって来る。津奈木に未練のある彼女は、津奈木を寧子と別れさせて取り戻したいと言い出す。そしてなぜか安堂は、津奈木から離れても寧子が生きていけるように社会復帰と自立を手助けすることを提案。寧子は外の世界と関わらざるを得なくなり、二人の関係にも変化が訪れるが……。

MC まず趣里さんに伺いたいと思います。自分の感情をなかなかコントロールできないヒロイン、しかも過眠症ということで非常に難しい役だったと思いますが、どんなところを意識して演じられましたか?
趣里 そうですね…まず脚本を読んだ時に脚本の持つものすごいエネルギーみたいなものを感じまして。そこはやっぱり読んでからずっと身体に残っていたのでその初期衝動みたいなものを大切に…あとは寧子に共感できる部分もたくさんありまして。
MC では、菅田将暉さんにお伺いしたいと思います。今回の津奈木という役はご自分ではどう捉えて演じてきましたか?
菅田 そうですねぇ…うーん。現場に行ってからだな、と思っていました。やっぱり、寧子に会わないと始まらないな、と思っていましたし、そんな寧子と三年ぐらい一緒にいるところからのスタートだったんで。

MC お二人は共演されてみていかがでしたか?
菅田 楽しかったですよ。
趣里 凄く楽しかったです!菅田さんってとても自然体な方ですよね。現場でも本当にこのままでいてくださって。寧子のちょっとエキセントリックな部分をしっかりと受け止めてくれて。
菅田 そうだね、何回かパンチ入れられてるからね。

MC この作品のキャッチコピーなのですが、「ほんの一瞬だけでも、分かり合えたら。」というものなんですね。大切な人と分かり合えたと思えた瞬間、もしくは相手と深く気持ちが繋がったと思えるのはどんな時か、お話してもらいたいです。
趣里 言葉じゃないのかな、と思うんです。舞台とかやらせてもらっていると、お客様と通じ合える瞬間みたいなものを凄く感じて。あ、でも一方通行だったら嫌ですね。言葉じゃなくて空気で感じる時がありまして。そういうときは幸せと喜びを感じる瞬間です。
菅田 なんだろう。全然些細なことですけど、この間コンビニ入った瞬間に「あーいーがー」って俺の曲が流れたんです。その時に店員さんと目があって。シンクロではありましたね。
 結構私、家族では分かり合えているほうだと思うんですけど。旦那さんが仕事終わる頃かな?と思って「終わった?」っていうのと同時にLINEが「終わった」ってきて。そういうのが分かり合えているかなぁ、と。

MC この物語を読んだ方々は、この後寧子と津奈木がどうなったのか話し合うらしいのですが、これに対して作った皆さん方に、この二人はこれからどうなるのかお聞きしてみたいと思います。
石橋 私は最後を観てほっとして終わったのでその先のことを一切考えてなかったんですけど。この映画の中でだけで起きたことで、心に閉じ込めておきたいかも。
西田 私は津奈木が許す心を持っている人な気がして。なんだかんだつかず離れずの関係が続いても、それならそれでいいかな、みたいな感じですかね。
織田 私は願いとしては続いてほしいです。
 事実婚!みたいな感じになる気がします。なんか犬とか飼ってそう。それで一生通じあってそうな。
菅田 僕はもう決めて演じてしまっていたので。僕はもうこのあとはお別れするつもりで演じていましたね。じゃないとできない抱擁とか、じゃないと使えない言葉とかだな、って思って使っていましたね。男目線ですけど。俺は今は一緒にいるべきじゃないな、と思って演じていました。
趣里 私も別々の第一歩なのかな?と思ったのと、津奈木が次に選ぶのは誰だ、と見てみたい怖さがあります。

「お別れする」発言に会場の観客は軽くブーイング。「現場に来たことないだろうが!」「知らないですよ」とふざけて応酬する菅田に会場が沸き、その自然体な対応がファンを歓喜させていた。
最後に趣里が「スタッフさん一人一人の思いを感じて、あらためて映画の力をたくさん感じることができました。『生きてるだけで、愛。』というタイトルが全てだと思うんですけど、登場人物を通じて、葛藤や愛おしさがつまっている映画になっていると思いますので、ぜひ楽しんでいただけたら嬉しいです」と締めくくり、楽しい雰囲気の中、イベントは終了した。

取材 福井原さとみ

『生きてるだけで、愛。』
2018年11月9日(金)全国ロードショー

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