さらに充実!『大須にじいろ映画祭2016』レポート



昨年に続き二回目となる「大須にじいろ映画祭2016」が8月27日(土)、名古屋市大須の大須演芸場で開催された。
セクマイアイドルグループ、NSM=のオープニングアクトで幕開けすると、同性婚裁判を追ったドキュメンタリー『ジェンダー・マリアージュ ~全米を揺るがした同性婚裁判~』が上映された。上映後、男性から女性へトランスジェンダーしたタレント、さつきぽんさんのトークショーが始まる!艶やかな浴衣姿が美しいさつきぽんさんに、場が一気に華やいだ。

幼少期から感じた男性性への違和感、タイで受けた性転換手術のこと、母親との関係など、女性になるまでの葛藤や苦悩をユーモアを交えて語り、何度も温かい笑いが巻き起こった。
「女の子になる」という大きな夢を叶えたさつきぽんさん。どんな夢でも、夢をもち、それに向かって毎日を一生懸命生きることの大切さを語りかける姿が眩しかった。

続くショートフィルムコンペティションではノミネート6作品、『ファントム・ジェニー』、『夕暮れの影』、『マイスイ~ト ハッピ~ フレンド フォ~ ユ~』、『life is RAINBOW』、『君と違う空は見たくない』、『愛ちゃんの心臓』が上映され、多様な視点からLGBTに向き合った作品群に来場者は熱心に見入った。
審査の結果、男性から女性へ性転換した主人公の戸惑いを繊細に描いた、『ファントム・ジェニー』(マキタカズオミ監督)がグランプリを受賞した。

左から河原雪花監督(『夕暮れの影』)、菊池奈緒プロデューサー(『ファントム・ジェニー』)、俳優の石橋征太郎さん(『ファントム・ジェニー』)

コンペティション後は長編作品『超人X.』と『青、そして少しだけピンク』の上映。これが二作品とも素晴らしい!
ベトナム映画『超人X.』は、ゲイのスーパーヒーロー(!)が活躍するという斬新な設定なのだが、コメディとしてもヒーロー映画としても、ハイレベルな出来ばえ。「誰だってヒーローになれる!」という寛容さとポジティブさを備えた一本だ。
大トリの作品『青、そして少しだけピンク』(ベネズエラ・スペイン合作)は、恋人と幸せに過ごすゲイの主人公のもとに、別れた妻と暮らす思春期の息子が訪れ、一緒に生活することになるという複雑なストーリー。
家族の再生、LGBTとそれに対する偏見、男女間のDV問題まで描いており、人生の苦難にたくましく立ち向かう人々を描いた、南米らしい濃密な物語で見ごたえ十分だ。

ライブからトークショー、ショートフィルムコンペ、長編作品の上映と、第一回よりバラエティに富んだ盛り沢山の一日だった。来場した人々は、LGBTについて様々なアプローチで知ることが出来たのではないだろうか。
LGBTの当事者も、そうでない人も、それぞれの多様性を認め合い尊重することができるよう、大須にじいろ映画祭はこれからも続いていく!

文:小林サク

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