審査員特別賞!豊川悦司と大竹しのぶ共演『一枚のハガキ』記者会見レポート。
第23回東京国際映画祭にて、審査員特別賞を受賞した『一枚のハガキ』。こちらの会見は受賞前の10月27日(水)に六本木ヒルズで行われた様子です。豊川悦司さん、大竹しのぶさん、新藤兼人監督が登壇しました。
質問:新藤監督にお聞きします。この作品への想いと、「最後の作品」という発言について。
新藤監督 戦争をやってはいけない。いかなる理由があってもやってはいけない。32歳の時、召集された私の経験を通じまして、ドラマを書きました。戦争というものは偉い人がやるのではなく、(戦場に行く)二等兵がやるものなんです。一人の兵士が死ぬということ、その後のことを考えて欲しい。一家の中心が死んだ後の家庭というものはどうなるのかと、それが戦争の本質です。それを伝えたい。事実に基づいた私の身の上がありますから、強く自信を持って発言したいです。
泣いていては映画は作れない。雨が降ろうが、火が噴こうが、泣かないで顔を上げ、そして地上を這いずり回るように映画を作るうちに60年ほど経ちまして、ふと気がつくと98歳になっていました。これが限界と思って映画作りを降りるつもりです。小さな映画人の小さな映画ですけれど、よろしくお願いします。
質問:新藤監督の発言を聞いて、どう感じましたか?
豊川悦司さん 世界的に見ると、1900年代前半と2000年代、実は何も変わっていないんじゃないかと思います。日本は確かに戦後60年と言われ、内戦もありませんが、世界のいたるところで、内戦や国と国の資本主義的な意味合いでの戦争があります。監督が仰ったように、戦争で常に犠牲になるのは一般市民であったり、女性や子供、家族全員亡くなってしまったりと、戦争をするという事を決めた人たちじゃない、沢山の人たちが犠牲になっている現状は、全然変わっていないんじゃないかなと思います。
大竹しのぶさん 監督が小さな映画人の小さな映画と仰いましたけど、本当に映画の中で私たちは伝えるという役者の仕事をしていて、それが本当に大切な仕事なんだなと強く感じます。そして、映画を観た人々の心の中の記憶として、思いが繋がればいいなと思います。監督や、映画を作ったスタッフ全員の思いが、映画を通して繋がって行けばいいなと思うし、それを信じて作品を作っていきたいと思います。
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『一枚のハガキ』 監督: 新藤兼人 出演: 豊川悦司、大竹しのぶ、六平直政
98歳の新藤兼人監督自身、映画人生の最後の作品と語る最新作。戦後の惨禍は一兵士の戦死にとどまらない。大黒柱を失った家族は破壊される。庶民一人ひとりからみた戦争被害を最後の作品のテーマとした。
映画祭名称 | 第23回東京国際映画祭 |
開催期間 | 2010年10月23日(土)から31日(日) |
公開劇場 | 六本木ヒルズ(港区)ほか |
チケット情報 | 2010年10月8日より前売り券発売開始!! |
公式HP | http://www.tiff-jp.net/ja/ |
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取材・スチール撮影 南野こずえ