満島ひかり、愛の結晶の形『海辺の生と死』初日舞台挨拶



満島ひかりが4年ぶりに単独主演となる『海辺の生と死』が初日を迎え、満島ひかり、永山絢斗、井之脇海、川瀬陽太、津嘉山正種、越川道夫監督、朝崎郁恵が舞台挨拶に登壇した。(2017年7月29日 テアトル新宿)

日本文学の傑作「死の棘」を世に放った小説家・島尾敏雄と妻・島尾ミホ。後年、互いに小説家である二人がそれぞれ描いた、鮮烈な出会いと恋の物語が原作となっている。
太平洋戦争末期の奄美群島・加計呂麻島を舞台に、島尾ミホがモデルのヒロイン・大平トエ役に野性的な演技で唯一無二の存在感を放つ満島ひかり。トエの恋人で島尾敏雄をモデルとした朔中尉を永山絢斗が演じ、はかない恋の一瞬のひらめきを奏でる。

MC みなさまからご挨拶をお願いします。
満島ひかり 初日というのは映画と離れる日だと思っているので、悲しさと嬉しさが両方が相まっております。最後まで楽しんでいただければと思います。
永山絢斗 初日の早い時間からありがとうございます。今日は楽しんで行ってください。
井之脇海 ここは新宿ですが、奄美の時間を感じていただければなと思います。
川瀬陽太 外は暑いですね。映画も暑い中に撮影しました。楽しんで行ってください。
津嘉山正種 どうぞ楽しんでいただければと思います。
越川道夫監督 今日は暑い中ありがとうございます。

MC 公開に先立ちまして、舞台になっている奄美の加計呂麻島で上映があったそうですが、どのような反応がありましたか?
満島 ここに立っている5人の俳優以外は島の人が出演してくれたんですけど、小学生の役で出てくれた子供たちが大きくなってて、変声期を迎えている子もいて。映画の撮影はどうでしたか?と聞いたら「撮影はもう勘弁です、眠れないから」、「僕は案外、俳優としてやっていけるんじゃないかと思った」と言う子がいっぱいいて、すごく可愛かったです。島唄が映画の中でたくさん登場するんですけど、おばあさんが一緒に歌い出したりもありました。

MC 演じたトエ(島尾ミホ)という役と、島のどのようなことを伝えたいと思いますか?
満島 島尾ミホさんはピュアな愛を貫いた人だと思っていて。それは誰かへの愛じゃなくて、人類愛みたいなのを含めて、社会や戦争に負けないで愛を貫いて生きた人が映画にどうにか映らないかと思ってやっていましたね。奄美大島という場所はすごくポピュラーな場所ではないので、どんなに宣伝しても沖縄みたいに流行らないらしいんですよ(笑)可愛いところがいっぱいある島で、女性らしい島だと思っていたので、スクリーンに映ればなと。

MC 撮影の現場は他と違う点がありましたか?
永山 時間とともに島に馴染んでいく感覚が心地よかったです。監督からは「戦争映画じゃないから、戦争色を匂わせないように」と言われていました。浜辺でトエとの大事なシーンで、視界に入る機材をスタッフさんがどけてくださったりして環境を整えて撮影できたので有り難かったですね。すごく贅沢な経験をしましたし、どの現場もそうしてもらいたい(笑)空気感がこんなにも違うんだと思いました。

MC 島の方々との共演はいかがでしたか?
井之脇 僕はトエ先生を囲んでいる子供たちとのシーンがあるんですけど、みんなトエ先生のことが好きで。満島ひかりさんとしてではなく、トエ先生が好きという状態で。僕がトエ先生に近づくことに嫉妬したのか、本番中にも蹴ってくるんです。島の子たちが生々しく映っているんじゃないかなと。

MC 完成した作品を観て、どのようなことを感じましたか?
津嘉山 俳優っていうのは、努力して俳優をやれる人と、俳優になるために生まれてきた人がいると思うんです。西田敏行が若い頃、俳優になるために生まれてきたと感じたんですけど、同じことを満島さんに思いました。オーラというか目のチカラを無意識に持っていて、大きく花開く女優さんになると思っています。

MC 映画で島唄を歌う満島さんに歌唱指導をした奄美島唄の第一人者、朝崎郁恵さんにお越しいただきました。歌唱指導される時に口伝えで教えたそうですが。
満島 ほとんど口伝えで、目を見て手を握りながら覚えた感じです。
朝崎郁恵 大変難しいんですけど、結構速く覚えたんです。

MC これから観るみなさんに、メッセージをお願いします。
満島 語りつがれる温もりや、島の人たちが繋いできた歴史みたいなものを愛の結晶の形として映画にしたいと思いました。みなさんの中の、個人的な秘めごとや大切なところに触れる場面が1つでもあればいいなと思いました。

取材・スチール撮影 南野こずえ

『海辺の生と死』
テアトル新宿ほか全国公開中
(C)2017島尾ミホ/島尾敏雄/株式会社ユニマテ 配給:フルテルモ、スターサンズ

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