2017年3月24日(金)、特集上映【『ソーリーベイベー』名古屋上映】が公開初日を迎えたシアターカフェ(名古屋市 中区 大須)は、平日とは思えないほどの映画ファンで溢れていた。

田村専一……自主制作作品・インディーズ映画のファンを標榜するなら、その名を知らぬ者は少数派であろう。自ら映像制作団体【愛しあってる会(仮)】を立ち上げ、自主映画界で監督、脚本、撮影、編集、出演など八面六臂の活躍を見せ、【田村映画祭】を企画し自力で興行まで行ってしまう、“インディーズ映画界の鉄人(アイアン・マン)”である。
そんな田村専一監督の、そして【愛しあってる会(仮)】制作の映画を、名古屋ショートフィルムの聖地であるシアターカフェが見逃すはずもなく、過去に何度も上映会が開催されている。

『ソーリーベイベー』(2015年/64分)は、田村専一監督にとって初の長編監督であり、名古屋はもとより東海地方では初上映となる。そして、今回の特集上映では、東京での『ソーリーベイベー』上映で同時公開された短編の新作2本を含む3本が併せて上映される。
【『ソーリーベイベー』名古屋上映】は、Aプロが『ソーリーベイベー』で64分のプログラム(特典映像あり)、Bプロが田村専一監督の短編3作品で55分のプログラムという構成となっている。かねてからの田村専一ファンも、田村監督ビギナーも、皆が楽しめる上映会という訳だ。

『ソーリーベイベー』ストーリー:
誠(大迫一平)は、ゆうこ(渡辺ヨーコ)との結婚パーティを間近に控えていた。だが、同級生あつこ(アイハラミホ)の言葉に激しく動揺する。誠の元カノ・まちこ(望月美里)が、まだ自分のことを忘れられずにいるらしい。
誠の悪友・学(森重誘介)は浮気癖が抜けず、学の先輩・まさあきは童貞を拗らせている……恋の矢を射る天使たち(ほりかわひろき等)の気まぐれなのか、何だか妙に騒がしい。当の誠自身も、今は子持ちのまちこに連絡しようか悶々としている。
青春時代のかけがえのない元カノと、これから共に歩もうとしている今カノ……過去の恋愛と、今の恋愛……二つの恋の狭間で揺れ動く誠の心は、どちらに未来を託すのであろうか――。

Aプロ『ソーリーベイベー』の上映が終わり“お馴染み”田村監督が舞台挨拶に登壇すると、再会を待ちわびていた観客は大きな拍手で歓迎した。

田村専一監督 3年前のちょうど今ぐらいに撮影してて、クランクアップは4月2日くらいやったと思います。天使達はハイエースの中でメイクしてもらってたんですけど、その場所が地元のカップルが集まるスポットだったらしく、白塗りの人が蠢いているのを見て(カップルが)帰っていくということが何度かありました(場内笑)。

MC この作品は、自伝的な要素があったりするんですか?
田村監督 実際の話を参考にしたところもありますけど(笑)……友達のこととか。【ニューシネマワークショップ】の脚本コンペみたいなのがあって、そこで通って撮った作品なんです。完成して、嫁に最初観せたら4~5日しゃべってくれなかったです(場内笑)。「これ、ほんまの話ちゃうの?」って(笑)。

田村監督 『ソーリーベイベー』は30代くらいの恋の話なんですけど、女の人からしたら「この男、最低や」って言う人も多くて(笑)。こないだ下北沢(トリウッド)で上映した時、主人公(大迫一平)が舞台挨拶に来て、めっちゃイラついてた女性のお客さんがいらっしゃいました。帽子被ってるだけで、「アイツ、帽子被っとる!」って言われたり(場内笑)。

MC キャスティングは、どのようにして決められたんですか?
田村監督 (大迫)一平くんとかは知り合いなんですけど、奥さん役だけはオーディションしました。旦那が影でコソコソしてるのに、可哀相に見えない女性がいないかと……それが、渡辺ヨーコさんでした。なんか、旦那より悪いことをしてそうな人ってことで(笑)。それ以外はほぼ決め打ちで、自分からお願いしました。

また、この日はAプロのみの上映だったのだが、Bプロの短編3本についても田村監督からお話を聞くことができた。

『ホリメンタリー』(2016年/23分)
田村監督 『ソーリーベイベー』で大天使役のほりかわひろきに「親父とキャッチボールをしたいので、それを撮ってもらえませんか?」って言ってこられて、3~4日二人で行動しながら新潟まで行って撮影したドキュメンタリーです。「なんで僕、この人を撮ってんのやろう?」と思いながら(場内笑)……でも、中々面白い作品になりました。ほりかわファンは、いるんでしょうか(笑)?でも、観たらファンになると思います。

『good time』(2016年/9分)
田村監督 岡田あがささんが主演で、森重誘介くんも出演してます。あまり台詞もなく、けっこう真面目な……僕にしては珍しいテイストの作品です。「何いちびっとんねん!?」って思われるかもしれないですが(笑)、凄くカッコいい短編です。

『キープ』(2014年/23分)
田村監督 コヤマシノブさんが衣装を作ってくれた“折り紙マン”が主人公のヒーロー物です。観たら、「あっ!」ってなると思うんですけど、その辺も楽しんで観ていただけたらと思います。何回も観ると、また違った発見があったりするんじゃないかと。

【『ソーリーベイベー』名古屋上映】は、3月27日(月)まで連日シアターカフェで開催する。
3月25日(土)、26日(日)はトークゲストとして田村専一監督、ほりかわひろきさんが登壇する。追加ゲストで主演の大迫一平さんが、更に急遽、森重誘介さんの来場も決定したので、またとない機会を是非お観逃しなく。

そして、AB両プログラムをコンプリート鑑賞した方で先着23名にプレゼントが用意されている。『ソーリーベイベー』『キープ』で衣装を担当したコヤマシノブさん作のポーチなど激レア特典ばかりなので、早めの鑑賞が吉であろう。

シアターカフェの展示スペースでは『ソーリーベイベー』名古屋上映に合わせ、コヤマシノブさん個展【手にとった瞬間から物語が始まる!『暴走ファンタジー』】が開催されている。名古屋オリジナルグッズ販売も嬉しい“布モノART作家”コヤマさんの作品は、4月2日(日)までの展示となっている。
ちなみに、『ソーリーベイベー』と同じく、コヤマシノブさんの個展も名古屋初なのだ。

“インディーズ界の鉄人”が初めて手掛けた長編映画『ソーリーベイベー』と、柔らかくも“尖った”布モノ作家の個展『暴走ファンタジー』。
どちらも名古屋初という、奇遇で奇跡なコラボレーション……シアターカフェで、観て、見て、触れてほしい。

取材・文 高橋アツシ

シアターカフェ公式サイト