_11104822016年6月11日(土)、岐阜県図書館(岐阜市 宇佐)では初夏の風物詩になりつつあるご当地映画祭、【第4回 MKE映画祭】が開催された。“MKE”とは《“見”て“く”れたって“いい”じゃない》の略称で、作り手と観る者の距離が近いアットホームな映画祭である。
全国からの約70作品より厳選された自主制作映画が制作陣の解説付きで鑑賞できるとあって、地元を中心に多くの映画ファンを集めた。
11:00の開始から2回の休憩を挟み14作品が上映され、観客の投票によってグランプリが決定した。

『瓜二つ』(2015年/14分)
山川智輝監督 出演してもらいたい2人と、撮りたい場所が決まっていて、そこから何を撮るのかを考えました。撮影期間は3日だったんですが、納得がいかなくて2~3日追撮しました。
山川俊三(出演) 全くの素人ですから大変でしたが、やると言ったことを途中で止めたらあかんと思ってやりました。
浜口春樹(出演) ジャガイモを生で食べるシーンがありまして、お腹を壊すことはなかったんですが、ちょっとえずいてしまいました(笑)。

『幸せの鳥は青くない』(監督:中泉裕矢/2015年/20分)

『サイキッカーZ』(2016年/7分)
木場明義監督 出演者のキャッチフレーズは、全部自分で考えました。面白い順じゃなくて人が集まった順に決まったので、本当はもっと面白いんですよ(場内笑)!
もりとみ舞(出演) “幽霊が見える としえ”役をやらせていただきました(場内笑)。
木場監督 去年の映画祭でもりとみさんと知り合って、「出たい」って言ってくれたんで……岐阜からノーギャラで、着物も持参していただき、出ていただきました(笑)。

『洗濯機は僕らを回す』(2014年/16分)
古新舜監督 『オレたちひょうきん族』をずっと観てたんで、いつか“お笑い”をやりたかったんですね。それまで作ってきた短編映画は真面目なヒューマンドラマが多くて、長編映画(『ノー・ヴォイス』2013年/118分)デビューをしたんですが、「これからはスタイルを崩したい」と思ったんです。

『花屋を見つけて』(2016年/2分)
西田啓太監督 花屋は実はウチの妻が経営している花屋でして、花屋を舞台にした映画を撮りたいなとずっと思ってたんです。去年は全然違うバタバタな映画(『ウェアラブル・アンドロイド』2014年/5分)だったんですけど、花屋が舞台ですし真面目に作りました。

『N.O.A.』(2015年/15分)
下向拓生監督 私は社会人で、趣味で土日で制作しているんですけど、三重苦で……場所が無い、お金が無い、時間が無い、そんな感じでやってますので、その中でどういう風にしたら面白い映画が撮れるかというコンセプトで作りました。

_1110403『たむほりっく0』(2015年/20分)
高嶋義明監督 元々ライブを撮った映像があったので、時間が掛からず撮れないか……と、物語を付けて撮った物です。
ほりかわひろき(堀川役) 学生服を何十年かぶりに着たので、凄ぇピチピチでした(笑)。
田村専一(田村役) 自分が出てない時は、カメラを回したり録音したり、皆で楽しんで作りました。
星野祐樹(星野役) 田村さんが付けてた長いカツラを失くしてしまって、次のライブでは金髪ロン毛のカツラに変わったってことがありましたよね(笑)。

『遥かなるアテンションプリーズ』(2016年/6分)
繁田健治監督 『たむほりっく0』と合わせて、“中高年学ラン大会”みたいになってますが(場内爆笑)……順番、そういうコンセプトで組んだんですかね(場内笑)?

『たたかえ!クンフー・リー』(2011年/20分)
菊池勝雄監督 約30年前、就職して最初の年くらいですかね……学生時代の仲間が、お休みの取れる日曜日に1日で撮った作品です。一度ブルース・リーをやりたいと思って撮ったのが仕上げに時間が掛かってしまったんですが、今日こんな風に上映できるように巡り巡ってくるとは本当に思いませんでしたので、壇上で挨拶する人がよく関係者、スタッフ皆に御礼を言う気持ちが今日は良く分かりました。有難うございます。
浦田知明(撮影監督) 露出オーバーしまくってしまい、眩しくて本当に申し訳ございません。当時8mmフィルムで撮影された作品で、早朝始発で集まって、夕方日が暮れるまでてんやわんやで撮りきりました。飽くまでも『最強戦隊ジェットマン』(2011年/18分)のスピンオフ作品ですので、本編が完成しないうちにスピンオフが完成するのは許しがたいということで、完成させずに至ってしまいました。

『地獄の忍者村雨』(2014年/3分)
佃光監督 僕も、就職して1~2年目に仲間と撮った作品です。編集は直ぐにやりましたけど(笑)、けっこう掛かりました。生えてる花で上手いこと股間が隠れるというカットを凄い3時間くらい頑張って撮ったんですけど、一応上手くいったんですが全然面白くなくてボツになりました(場内笑)。

『覚え流し』(2016年/18分)
宮田明広監督 あまり世の中にないような物を作りたいと思いまして、モキュメンタリーだとホラーとか怖いのが多いんですが、そうじゃない物を作りたかったんです。
深沢磨央監督 一つの目論見として、海外の映画祭とかに出した時、海外の方が「これ、本当に日本であるものなのか?」ってちょっと騙されてほしいなというのがありました。

『食人鬼 Jikininki』(監督:友利翼/2016年/16分)

_1110437『ここにいる』(2015年/16分)
高山直美監督 15分ノーカットで撮った作品です。ノーカットということで、出演者3人写らないように走り回るといったところが大変でした。
藤原未砂希(出演) 私にとって、ノーカットもショートムービーも、ヒロインも……そして、キスシーンも初めてで(笑)、ドキドキが一杯の作品でした。
仙田遥平(出演) 自分もノーカットで撮ることは初めてで、最後の方はヘロヘロになりながら頑張りました。途中でアナウンスが流れるイレギュラーがあって、「やるのかな?」と思いながら続けたんですけど、それが使われて吃驚しました(笑)。

『鼻歌』(2015年/10分)
佃尚能監督 『鼻歌』は、お題が出てから48時間以内に撮って編集して納品するという【48時間映画祭(48Hour Film Project)】で撮った作品なんです。それが、ひょんなことから今年のカンヌ(第69回カンヌ国際映画祭)で上映していただきました。今回は「純日本映画を作ろう」というテーマで撮ったので海外のお客様に分かるかなとビクビクしてたんですけど、かなり良い反応を頂きました。
菅原康太(撮影) 普段は写真の仕事がメインで、映画は今回が初めてでした。監督に「やってみない?」と言われるままに参加したら「48時間で撮るんだけど」と言われ、もう訳も分からずで(笑)。でも、一所懸命いい経験をさせていただきました。

作品の上映が終わると観客からの投票用紙が集められ、立会人の監視の下グランプリ作品への投票が集計されていった。
このインターミッションにじゃんけん大会が行われ、各部門賞が発表された。【MKE映画祭】は作品と賞の両方を一般公募している映画祭で、趣旨に賛同したプレゼンターが自由に賞を設定できるのだ。各章の受賞者もさることながら、今回はどんな部門賞が設けられるのかも楽しみの一つなのである。

【はんどめいど賞】『N.O.A.』
【いつかこの映画を思い出しきっと笑ってしまう賞】『サイキッカーZ』
_1110452【STEP賞】『ここにいる』藤原未砂希
【最優秀主演男優賞】『鼻歌』尾関伸嗣
【最優秀主演女優賞】『N.O.A.』Siri
【最優秀助演男優賞】『瓜二つ』山川俊三
【最優秀助演女優賞】『ここにいる』藤原未砂希
【最優秀撮影賞】『鼻歌』菅原康太
【オリジナル脚本賞】『地獄の忍者村雨』佃光
【Director of Directors賞】『N.O.A.』下向拓生監督
【Amazing actress賞】『たたかえ!クンフー・リー』大久保薫
【隆盛(りゅうせい)賞】『ここにいる』
【ブレイクスルー賞】『N.O.A.』

賞はグランプリを残すのみの段階で、『N.O.A.』が四冠、『ここにいる』が三冠、『鼻歌』が二冠を達成した。
各賞の獲得者に惜しみない拍手が送られる中、壇上は尋常ならざる事態に遭遇していた。投票の結果、なんと3作品の得票が同数で並んでいるというのだ。
想定外の決選投票が行われ、ようやくグランプリ作品が決定した。
_1110478『ここにいる』『鼻歌』との決戦を制し、栄えある【第4回 MKE映画祭グランプリ】を戴いたのは、下向拓生監督の『N.O.A.』であった。『N.O.A.』は、史上初の五冠を獲得した。

授賞式が終わり、メインMC児玉篤史の「見てくれたって……」の発声に「……いいじゃない!」と応えた入場者全員による記念写真で【第4回 MKE映画祭】は幕を閉じたが、会場を移し懇親会が始まり、映画を愛する者同士が“第四の壁”の隔たりなく交流を深めた。
梅雨入りしたというのに晴れ渡った美濃の空がどっぷりと暮れた後も、美(うるわ)しく濃い夜は終わることなく続いたのだった。

取材 高橋アツシ

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