いくつになっても、何度目でも。愛は上手にできない『ハッピーエンドが書けるまで』レビュー


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大ヒットした『きっと、星のせいじゃない』は記憶に新しいが、これが2作目監督作のジョシュ・ブーン監督が長編デビューしていたのが『ハッピーエンドが書けるまで』だ。
リリー・コリンズ、ローガン・ラーマン、グレッグ・キニア、ジェニファー・コネリーと、長編デビューとは思えぬほどの豪華キャストで綴られるのは、不器用なひとびとの愛の物語だ。

ノースカロライナ州のウィルミントン、ライツビルビーチを望む家にビル・ボーゲンズ(グレッグ・キニア)と高校生の息子ラスティ(ナット・ウルフ)が住んでいる。
感謝祭を迎え、大学生で家を離れている長女のサマンサ(リリー・コリンズ)が帰省してきた。
ビルは著名な小説家で、サマンサとラスティも小説家を目指しているのだが、食事中にサマンサから小説の出版が決まったという報告があり、家族は祝福に沸き立つ。
幸せそうに見える家族だが、しかし実はそれぞれに問題を抱えていた。

ビルは3年前に離婚した元妻のエリカ(ジェニファー・コネリー)に未練たらたらで、彼女が浮気相手と再婚したあとも、自宅を覗くなどストーカーまがいの行為がやめられない。
母の浮気と両親の離婚によって愛を信じられなくなったサマンサは、見てくれだけの男たちとその場かぎりの恋を繰り返す日々だ。
母のエリカに激怒していて、母を完全に無視し連絡を取ろうとしない。
ラスティは同級生の美少女ケイト(リアナ・リベラト)に恋しているが、彼女がコカインを吸っているところを目撃してしまう。
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作品の原題は『Stuck in love』(愛につまずく)。
愛を忘れられない父、愛を信じない娘、愛に臆病な息子、彼らはさまざまなかたちで愛に「つまずいて」しまっているのだが、小さな変化が訪れることで物語が動き出す。

ビルは近所の「友人」の勧めで、新しい恋をしようと、他の女性とデートすることを決意する。
サマンサは大学の同級生ルイス(ローガン・ラーマン)に好意を寄せられるが、心を開いて後で傷つくのを恐れてルイスを遠ざけてしまう。
だが彼に惹かれていることに自分でも気付いていた。
ラスティは勇気を出して、憧れのケイトがどんな子でも構わないと、アプローチを試みる。

天地がひっくり返るような劇的な変化じゃない、だけど自分にとっては大きな一歩を彼らは踏み出していくー、踏み出したことで戸惑い、傷つきながらも本当に大切なもの、大切な人に次第に気付いていくのだ。

また、本作で描かれるボーゲンズ家の姿ーケンカしながらも父を深く尊敬する子供たち、息子の初恋を応援する父、母に対して素直になれない娘、嫌われても娘を想う母ーこれは多くの人が体験するかもしれない、家族のストーリーでもある。

元妻をいじらしく待ち続ける父ビルに名優グレッグ・キニア。元夫への複雑な想いに揺れる母エリカにアカデミー賞女優、ジェニファー・コネリー。
快活で才能溢れるサマンサに今や人気女優のリリー・コリンズ、彼女に想いを寄せるルイスを『フューリー』『ウォール・フラワー』のローガン・ラーマン、繊細な弟ラスティに期待の若手俳優ナット・ウルフと、実力あるキャストがそれぞれのキャラクターに生き生きした魅力を吹き込んでいる。

誰にでも起こりうる、愛と家族と人生についての物語。
もしあなたが前に進めずに悩んでいたら、その背中をそっと押してくれるかもしれない作品だ。
あなたが描きたいハッピーエンドはー何ですか?

文 小林麻子

『ハッピーエンドが書けるまで』
(C)2012 Writers the Movie, LLC
公式サイト http://happy-movie.com/
6月27日より、新宿シネマカリテ、渋谷シネパレス他全国ロードショー

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