作り 伝える 愛『夜があけたら』鑑賞記


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作り 伝える 愛 ――『夜があけたら』鑑賞記――

【CINEMA PROJECT】とは、ENBUゼミナールが主催する劇場公開映画製作・俳優ワークショップである。最大の特色は、劇場公開作品を製作するのが目的であることだ。

第2弾で『サッドティー』(監督・脚本・編集:今泉力哉/120分)『モーメント』(監督・脚本・編集:金井純一/74分)を産み出し、大反響を得た【CINEMA PROJECT】。第3弾は『夜があけたら』(監督・脚本・編集:川村清人/92分)、『夏前。おわり』(監督・脚本・撮影:佐々木友紀/81分)、『うるう年の少女』(監督・脚本:天野千尋/85分)3作品で、2014年10月25日からK’s cinema(東京都 新宿区)にて上映され多くの映画ファンを魅了した。

シネマスコーレ(名古屋市 中村区)では、この【CINEMA PROJECT第3弾】の3作品に、二ノ宮隆太郎監督の『魅力の人間』(89分)、『楽しんでほしい』(19分)2作品を加えた豪華ラインナップでの番組となった。【ENBUゼミナールCINEMA PROJECT+『魅力の人間』】と題されたこの特集上映は2015年5月16日に初日を迎え、『夜があけたら』の川村清人監督、重野滉人、湯舟すぴかが舞台挨拶に立った。

『夜があけたら』Story:高校の教師と生徒であった雄一郎(村木雄)とハル(笠島智)は、結婚したものの冷めた夫婦関係を送っている。ある晩、雄一郎が事故で息をひきとり、残されたハルは雄一郎の浮気相手である北村栞(武田梨奈)と出会う。栞を恨めしく思い対立するハルと栞だったが、ある出来事を機に二人の運命が狂っていく。

川村清人監督 「前回シネマスコーレさんで上映させてもらった時は【MOOSIC LAB 2013】で『GREAT ROMANCE』と言う作品だったんですけれど、『GREAT ROMANCE』は(飯塚貴士監督との)共同監督だったので、その時からずっと単独の作品を持ってここに戻って来たいと思っていました。今日それが叶って、本当に嬉しく思います。『夜があけたら』はENBUゼミナールの【CINEMA PROJECT】作品で、集まった俳優と共に映画を作って映画館で上映するまでやると言う企画です。武田(梨奈)さん以外……9人くらいかな……ほとんどがワークショップに来てくれた方です。作る物に関しては何の制約も無い、これだけ自由にやって良いと言う企画は本当に中々ないので、自分としてもここでしか作れない作品を撮ってやろうと言うのがありました。作り手って、一生に一回くらい「とことん後味悪い物を作ってやろう」って言うのがあるんですよね(笑)」

坪井篤史(司会進行:シネマスコーレ・スタッフ) 「お二人は変わった役どころでしたけど……演じてみて如何でした?」
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湯舟すぴか 「最初にこの役を頂いた時、川村さんに「湯舟さんはこれから業界の中で生き残っていく為には、こう言う役も演れるようになっといた方が良いと思うんだ」って言われたんです」

川村 「……偉そうにね(笑)」

湯舟 「(笑)。自分としても、常々役の幅を狭めるのは駄目だと思っていたんです。実際この役と向き合ってみて、蓋を開けてみると意外に評判も良くて(笑)。昭美(役名)のおかげで、役の考え方が少し変わりました。作品の中でどう言う立ち位置か……キャラクターが求められてることをちゃんと満たさないと、作品全体に係わってくるので……その中で如何に遊ぶかって言うのが、自分の役者としてのチャレンジの仕方だと思う良い機会になりました」

重野滉人 「台本を頂く前から何となく予感はあったんですが……もらってみたら、やっぱり素に近い役でした。吉田(役名)と居る時間だけでもハルに希望を見せられるような役にしたいと思いました。吉田と言う役は、結構エッジを利かせてると言うか、スパイスだと思ったんで……川村さんにああ言う役柄を頂けた事は、凄く感謝してます」

川村 「重野くんは、綿密に役作りをして来てくれてた気がします。「ここはこうしたい」って演技プランが明確にあって、凄く応えてくれて撮影もすんなり行きました」

重野・湯舟の御両人は、一体どう言う役どころなのか、愉しみにして頂きたい。
そして、ハルの、栞の、“夜”は“あけ”るのか――その眼に確りと灼き付けて頂きたい。
『夜があけたら』は5月19日(火)までの上映なので、この衝撃作を決して観逃さないで頂きたい。

川村 「この後続く『夏前。おわり』と『うるう年の少女』は同じ企画で作っている物で、20数人の役者さんを3作品に振り分けて1本ずつ作ってると言う、一緒にやってきた人たちの作品です。『夏前。おわり』って、凄い問題作なんですよ。本当に色々吃驚する、ぜひ映画館で観てほしい作品です。『うるう年の少女』監督の天野(千尋)さんは地元(愛知県豊田市出身)なので皆さんも作品を色々御覧になってると思いますが、僕が観た天野さんの作品で一番好きな映画です。凄く完成度の高いエンターテイメントに仕上がってると思います。そして、二ノ宮(隆太郎)くんの『魅力の人間』……PFFで準グランプリを獲ったのは伊達じゃない作品ですので、皆様、通っていただけたらと思います」

湯舟 「『夏前。おわり』には、私も出演してます。しかも、『夜があけたら』より結構長く出ています(笑)」

作り手と伝え手が【CINEMA】に懸けた情熱が呼応する時、銀幕には奇跡が映る。
いつだって劇場は、奇跡が起こる場所なのだ。

取材 高橋アツシ

【CINEMA PROJECT】『夜があけたら』
シネマスコーレ公式サイト

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