Happy Birthday dear シアターカフェ!!『シアターカフェ3周年記念大解放祭』体験記


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Happy Birthday dear シアターカフェ!! ――『シアターカフェ3周年記念大解放祭』体験記――

2015年3月28日・29日両日、来たる4月1日で開店三周年となるシアターカフェ(名古屋市 中区 大須)にて『3周年記念大解放祭』が執り行われた。日頃より自主短編映画の聖地として愛されているシアターカフェの三周年を祝うイベントに相応しく全国から映像作品27本が集い、2日間に渡り上映された5プログラムは大いに賑わった。作品の紹介と共に、登壇された監督の声を紹介する。

Aプロ
『Potori』(4分7秒/監督:内藤日和)
『ちっちゃな手』(1分17秒/監督:内藤日和)
「『Potori』の赤ん坊は、わたし自身なんです。2014年の終わり頃に作った作品なんですが、仕事関係や人間関係が調子悪い時だったんで(笑)……自分的に調子の悪い作品を作ろうと思って、出来たのがあれでした」(内藤日和監督)
『古本屋SOS!』(30分/監督:櫻井啓介)
『南国探偵ジョージ』(10分/監督:櫻井啓介)
「『古本屋SOS!』の古本屋は友達がやってるお店で、池袋に実在します(笑)。特撮場面のセットは、この作品の為に一から作りました。美術の仕事をしてるんですが、先輩に作ってもらいました」(櫻井啓介監督)
『ひこうぎ』(5分/監督:イワタひろこ)
『忍者映画館』(28分/監督:杉田一豊)
「SNSで呼びかけて集まった人で撮った作品です。皆さんには何かとっても申し訳ないんだけど、台本もなく即興でアイデアを考えてその場で撮ったんです。なにせ、当日誰が来るか、何人来るか分からないもんで(笑)」(杉田一豊監督)
『へそのあな』(30分/監督:岡安 希)
「私の大学が映像科の学科で、その卒業製作で撮った作品です。1週間で撮らなきゃいけなかったんで、人をかき集めて撮りました」(岡安 希監督)

Bプロ
『キャベツ』(13分5秒/監督:渡邊敬之)
「大学のシネマ研究会で撮った作品で、学祭とかで流したりしてます。フィルムっぽい映像ですが、iPhoneの8mmフィルム風のアプリで撮ってます」(渡邊敬之監督)
『こうたろう イン スペースワンダーランド』(28分/監督:artegg-yumi)
「元々は1時間以上の作品で、子どもが観ると冒険映画に、大人が観ると愛情を受けて育った子どもとネグレクトを受けて育った子どもの対比が分かるようになっています。今回は、大人用に編集した短編バージョンです」(artegg-yumi監督)
『李さんの綿』(20分/監督:湯本雅典)
『パンダ』(29分/監督:笹木彰人)
「オーディションの時、全員に「何の役をやりたい?」って聞いたんですが、主役の男の子が「パンダをやりたい」って言ったんですね……その発想が面白くて(笑)。「お前の映画は良い映画で面白くない」ってずっと言われてたんで、今回イヤな映画を撮りたかったんです」(笹木彰人監督)
『スモールワールド』(20分5秒/監督:中屋充史)

Cプロ
『往生際の悪いオトコ』(15分/監督:岩松あきら)
『ちゅうぶらりん』(28分5秒/監督:小川修平)
「撮影期間は、夏から冬場まで掛かりました。地元が北海道の札幌なんですが、雪が降ったりして、それも取り入れて季節が表現できたのは良かったと思います」(小川修平監督)
『たんぽぽ』(4分5秒/監督:加藤千晶)
「大学の映画サークルに入っていて、ゴールデンウィークの1日で撮った作品です。原案も、私が考えたものです」(加藤千晶監督)
『探偵ノマド』(27分/監督:児玉篤史)
「色んな探偵ドラマや刑事ドラマが好きで、撮った作品です。あわよくば、シリーズ化を狙ってます(笑)。眠れない夜にテレビを点けると、昔観てた探偵ドラマをやってる……そんな感じで観てもらえればと思い、テレビドラマ仕立で作ってみました」(児玉篤史監督)
『サルビア』(30分/監督:西中拓史)
「『サルビア』はとっても不親切な映画で、存在する設定も蛇足になるので敢えて明かしてないんです。劇中の事故のシーンもモチーフはあるんですが、それに引きずり込まれるのが嫌で、飽くまでも主人公の心象風景として扱っています」(西中拓史監督)

Dプロ
『夕暮れ探偵』(25分/監督:貞弘雄一郎)
「しょっちゅう撮ってる訳ではないですが、学生時代からたまに撮っています。映像関係の仕事をやっているので、勉強にもなりますし。ちなみに、出演者も仕事仲間とか、そんな感じです」(貞弘雄一郎監督)
『NAPOLEON FISH DAYS』(25分5秒/監督:奥田悠介)
『ノリコ』(23分5秒/監督:小林 遼)
「具体的にモデルが居る訳ではないんですが……主人公のノリコは、チョコマカ動いてヤバい奴です。そんなキャラを街の中に入れて、遊ばせてみた――そんな作品です」(小林 遼監督)
『DOLLS』(3分/監督:植田崇裕)
「出演された方はダンスをやってるので、ダンスっぽい表現をしてもらって何パターンかを撮りました。僕の作品は絵コンテもほとんど無く、その場で決めて撮ることが多いんです」(植田崇裕監督)
『SUPI スーピー』(30分/監督:中野 森)
「出てる俳優たちのうち3名が歌手で、生まれて初めての演技でした。映画を作って主題歌をお願いすると、その歌手のファンの方たちが映画を観に来てくれるんですね。好きな歌手の方が映画に出てれば、そのお客さん達はもっと喜んでくれるんじゃないかなって思いまして」(中野 森監督)

Eプロ
『私は知ってる、私は知らない』(14分5秒/監督:澤田サンダー)
「ヒカリエ(渋谷)の昔の話を……東急文化会館を題材にして撮った作品で、分かる人には分かる――そんな感じにしたかったんです。それもあって、外観などの風景を入れる予定だったのを敢えて暗転にしたり、色々と試行錯誤しました」(澤田サンダー監督)
『小さな村の笑顔たち』(30分/監督:内田俊介)
「僕は、旅と、人とのご縁が大好きで……実は、名古屋にもヒッチハイクで来たんです(笑)。この作品は、カンボジアでの学校建設の団体と出会って、自分も活動する中で子供たちと仲良くなって撮ったんです……これもやっぱり、ご縁ですね」(内田俊介監督)
『着ぐるみちゃんのハッピーホリデー』(10分5秒/監督:木場明義)
「着ぐるみは、僕の他の作品でも出てきます。作るのが大変だったので、極力使いまわししていこうかと(笑)。もちろん、今後も(笑)」(木場明義監督)
『君を連れて行く、いいよね。』(30分/監督:繁田健治)
「色んな映画祭に応募する時、その上映時間を守ることにしてるんですよ。だから、この作品もパソコンの中に10バージョンくらいあるんです。「短縮版は不本意では?」と聞かれることもありますが、僕は欠片でも何でも観てほしいって言うのがポリシーとしてあるんです」(繁田健治監督)
『虹の麓まで』(20分/監督:高岡尚司)

上映が終わると、時を移さず観客賞の発表・パーティとなった。
『シアターカフェ3周年記念大解放祭』観客賞受賞作は、Bプロの『こうたろう イン スペースワンダーランド』。artegg-yumi監督には、シアターカフェ1日上映権が授与された。

「『ちっちゃな手』と『Potori』は、作った時の精神状態の違いを比較して観てくれたら、またそれはそれで面白いかもしれません(笑)」(『Potori』『ちっちゃな手』内藤日和監督)

「『南国探偵ジョージ』は、八丈島でiPhoneで撮ったんです……本当にもう、ノープランで(笑)」(『古本屋SOS!』『南国探偵ジョージ』櫻井啓介監督)

「次回作は、ちゃんと台本を用意しようかと思ってます。でも、当日にならないと誰が来るのか分からないので、大変なんですが(笑)」(『忍者映画館』杉田一豊監督)

「『往生際の悪いオトコ』は“三河映画”次回作『Ben-Joe』のスタッフで撮った、謂わば習作的な短編です。でも、結構気に入ってます」(『往生際の悪いオトコ』主演:倉橋 健さん)

「ヒロインの子が使うモーゼル銃は、単なる個人的な好みです(笑)。女の子に大きな銃を持たせたくて」(『探偵ノマド』児玉篤史監督)

「一方通行でなく双方向から発信し合える表現を目指して、劇団『つきしみ』を演出しています。観客の方の行動も物語の一部となる演劇を開催してます」(『ノリコ』小林 遼監督)
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「普段はループ再生で上映されることが多いので、今回観てもらった『DOLLS』とは違う編集です。こうして頭から終わりまで観てもらうのって、凄く貴重な機会なんです」(『DOLLS』植田崇裕監督)

「込められた意味を知っている方と知らない方で、受け止める印象は全然違う……そんな作品を、意識してます」(『私は知ってる、私は知らない』澤田サンダー監督)

「次回作はカンボジアだけでなく、アルゼンチン、日本国内……色々と構想があります。ずっと、“旅する映画監督”でやっていきたいんです!」(『小さな村の笑顔たち』内田俊介監督)

「実は、僕の監督作は全て繋がりがあったりします。前に観た作品と同じ役者さんが出てきたら、取りあえず疑ってみてください(笑)」(『着ぐるみちゃんのハッピーホリデー』木場明義監督)

「“制服の中身”のことばかり聞かれますが、大切なのは制服そのものです。制服を着ると、セーラー服なら学校が、ナース服なら病院が見えてくる……制服は、謂わば記号。制服は舞台装置として、学校や病院を背負ってるんです」(『君を連れて行く、いいよね。』繁田健治監督)

監督とファンによる映画談義は終わることなく繰り広げられ、シアターカフェの3歳を祝う誕生会で大須の夜は更けていった。
Happy Birthday dear シアターカフェ!!

取材 高橋アツシ

シアターカフェ公式サイト

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